【EC業界ニュース】Weekly Topics 1016-1022

Today’s Topic
今週の注目ニュースはヤフージャパンによる「ペイペイモール」のサービス提供開始のニュースだよ

今週の注目ニュースはヤフージャパンによる「ペイペイモール」のサービス提供開始のニュースです。先月、ZOZOのTOBを発表した同社はオンラインショッピング売上拡大の計画に加え、モバイル決済サービス「ペイペイ」のスーパーアプリ化も目指しています。スーパーアプリとは、テキストメッセージやSNS、決済、配車や旅行の予約、オンラインショッピングといったあらゆるサービスを統合して利用できる多機能型アプリのことを指し、国内の代表的なサービスとしてLINEがあげられます。今回、ペイペイを決済手段としたオンラインショッピングサービスを本格展開したことは、スーパーアプリ化に向けた一歩ともいえます。先行するLINEは、利用者数が7,500万人で、その内約半数がLINE Payを利用しており、さらに2,700万人がショッピングサービス(検索・価格比較サービス)も利用しています。一方で、ペイペイの利用者数は1,500万人と大きく差を開けられている状況です。今後、ヤフージャパンを含むソフトバンクグループを挙げて、ショッピングサービスに留まらず、どのようにサービスを拡充していくかが注目されます。

■露ワイルドベリーズ、ヨーロッパ進出へ

Slovakia.png 10月16日、ロシアネット通販大手ワイルドベリーズが、ヨーロッパ展開の拡大を発表しました。ワイルドベリーズはスロバキアに物流センターを建設中ですが、先にネット通販のサービス提供が開始されました。ワイルドベリーズは、ファッションを中心に取り扱っていますが、ヨーロッパにはすでにファッションネット通販大手ザランド(独)やエイソス(英)が大きなシェアを占めているので、今後の展開が注目されそうです。

情報源:Ecommerce in Europe"Wildberries comes to Europe"(2019/10/16)

■メルカドリブレ、ブラジルでの投資を強化

Brasil.png 10月16日、南米のネット通販メルカドリブレが、金融サービスとロジスティックス強化のために、2020年ブラジルで30億レアル(約782億円)の投資を行う計画があると、ブルームバークが報じました。この投資は2018年の20億レアル(約522億円)、2019年の30億レアルの投資に続いているものです。アマゾンの本格参入や地場小売大手マガジンルイザとの競争が進む中で、ネット通販市場シェア33%を維持するための投資といわれています。物流面においては、すでに物流拠点を2拠点構え、サンパウロ市には当日配送を提供しています。今後、その他地域にも拠点を増やし、2020年中に翌日配送サービスを現在の8都市から、16都市にまで拡大する計画です。また、金融分野への投資では、決済サービス「メルカドパゴ」の機能強化に加え、出資を受ける米決済大手のペイパルとの連携強化なども噂されています。

情報源:Bloomberg"MercadoLibre Plans to Double Down on Its Brazilian Bet Next Year"(2019/10/16)

■ヤフー、ペイペイモール開始

nihonn.png10月17日、ヤフージャパン(以下.ヤフー)が、ペイペイモールの提供を開始しました。ペイペイモールは、ヤフーが運営するネット通販サイト、ヤフーショッピングで上位の優良店、または上場企業や一定の年商規模の大企業など、同社が設定した基準を満たしたストアのみが出店できるモールで、ダイソンや@Cosme shoppingなどの約600ストアが第一弾として出店し、年内にはZOZOTOWNも出店予定です。また、ヤフーショッピングでは、出店者は無料で出店することが出来ますが、ペイペイモールでは出店者の売り上げの3%が手数料として徴収されるといった違いがあります。消費者としては、同モールが1,500万人のユーザー数を突破した同社が提供する電子決済システムのペイペイと提携しているため、ペイペイ加盟店で使える電子マネー「ペイペイ残高」をお得に貯めることが出来ます。

情報源:同社プレスリリース「厳選されたストアのみが並び、電子マネー「PayPay残高」がお得にたまる、 プレミアムなオンラインショッピングモール「PayPayモール」が誕生」(2019/10/17)

■イタリア政府、デジタル課税を検討

Italy.png 10月17日、イタリアで2020年の政府予算にデジタル税が含まれていることが分かりました。対象はアップルやグーグルなどのIT大手で、売上が年間7億5,000万ユーロ(約908億円)であり、さらにデジタルサービスの売上が550万ユーロ(約6億6600万円)以上ある企業にオンライン取引の3%の課税がされる予定です。デジタル課税の導入はイタリアのみの動きではなく、フランスでもGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)への課税を可能にする「デジタル・サービスへの課税創設」が上下院で可決しており、イタリアと同様に3%の課税を2020年1月より実施する予定です。

情報源:Ecommerce in Europe"Italy wants 3% tax for big ecommerce companies"(2019/10/17)

■独メトロ、中国市場から撤退

china.png 10月18日、独スーパー大手メトロの中国事業を、中国小売大手の物美科技集団が買収することが明らかになりました。メトロが保有する同社の中国法人の株式9割のうち7割を、物美が2020年6月までに約10億ユーロ(約1,211億円)で買い取る予定です。中国には1990年代に、欧米系スーパーが相次いで進出をしていましたが、近年のアリババ集団などのネット通販の台頭によって不振が続いていました。仏スーパー大手カルフールはすでに、中国事業を中国家電量販店大手蘇寧易購集団に売却して、事実上の撤退をしており、米スーパー大手ウォルマートも中国ネット通販大手の京東集団と提携して巻き返しを図るなど、欧米系スーパーの苦戦が明らかになってきております。今後も中国市場における欧米系スーパーの動きには注目が集まりそうです。

情報源:日本経済新聞「中国小売り大手、独メトロの中国事業買収」(2019/10/18)

■五輪中の時間指定配送は中止か

nihonn.png 10月18日、政府は2020年の東京五輪・パラリンピック大会に向けた「交通輸送円滑化推進会議」で、大会開催中の都心部での時間指定配送のサービス提供を中止するよう大手配送会社に要請する方針を明らかにしました。要請は、宅配便の約9割を担っている大手3社のヤマト運輸、佐川急便、日本郵便に行う予定で、時間指定配送サービスの中止の他にも、再配送の削減、配送ルートの見直し、共同配送などに関しても個別の対応を求める方針です。政府はこれまでにも、五輪開催に伴う道路混雑の緩和に向けて、首都高速道路の入り口の一部を閉鎖するなど、大規模な交通規制の実証実験を行いましたが、交通量の削減目標は達成できず、対策が課題となっています。

情報源:日本経済新聞「時間指定宅配「五輪中は中止を」 政府、3社に要請へ」(2019/10/18)

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