11月25日、アマゾンがブラックフライデーセールに備えて、中国の独立系共同購入サービス「ピンドゥオドゥオ」に出店したことが報道されました。一度ローカル市場を撤退し、越境販売のみ継続してきたアマゾンではありますが、物流面においてはアリババやJDといった大手に対抗することができず、シェアを拡大することに苦戦してきました。そのため自力ではなく、勢いのあるピンドゥオドゥオに出店することで中国での売上拡大を目指す戦略へシフトしました。ピンドゥオドゥオの月間アクティブ利用者数は4億2,690万人となっており、これはトップのアリババ(6億9,300万人)に次ぐ利用者数で、急成長企業として注目を集めています。これまでピンドゥオドゥオは農村地域をターゲットに、低価格商品販売で成長を遂げてきましたが、2019年に入り、都心部の富裕層の獲得に向けて積極的に高品質・高価格帯のインポート商品の取り扱いも始めています。同社にとっても、アマゾンの出店は調達コストをかけずにインポート商品の取り扱いを増やすことができ、今回の出店は双方の利害が一致したものとみられます。
11月20日、ベトナムのC2C(Consumer to Consumer)ネット通販プラットフォームセンド(Sendo)が、シリーズCラウンドで6,100万ドル(約66億円)の資金調達を行ったことを明らかにしました。これまでで最大の資金調達となりました。シリーズCラウンドではSBI グループ、BEENOS、SoftBank Ventures Asiaといった既存投資家に加え、EV Growth やタイのカシコン銀行などの新規投資家が参加しました。調達した資金はプラットフォームの拡張と、カスタマーエクスペリエンス向上のためのAIや機械学習に投資予定です。
情報源:Tech in Asia"Vietnam's Sendo banks $61m in series C funding"(2019/11/20)
11月21日、米スーパー大手ウォルマートが、今後5~7年で中国に500店舗をオープンし、店舗数を現在の2倍にする計画を明らかにしました。同時に、中国にある既存の約200店舗を、顔認証を用いて支払いが完了できるようなセルフサービスレジの設備を追加するなどの改装を行う計画もしています。これらを通じて同社は、2023年に世界最大の食料品市場になると予測されている中国での存在感を強める狙いがあります。
情報源:CNN"Walmart is doubling down on China with 500 new stores"(2019/11/21)
11月21日、料理レシピのコミュニティサイトを運営するクックパッドが、生鮮食品を取り扱うネット通販サイトクックパッドマートの商品を保育園に配送するサービスを開始しました。保護者が専用アプリで事前に注文した商品を、園内に設置した宅配ボックス「マートステーション」へ届けるサービスです。第1弾として、都内の保育園「渋谷東しぜんの国こども園」にマートステーションを導入し、今後対応保育園を順次拡大予定です。
新宅配サービスが登場する一方で、11月22日、セブンアンドアイホールディングスとアスクルが手掛けていた、生鮮食品のネット通販宅配サービス「IYフレッシュ」は、11月30日で終了することが明らかになりました。IYフレッシュは2017年11月よりサービスを開始しており、アスクルのネット通販サイト「ロハコ」内で、約5,000種の生鮮食品をそろえ1時間単位の受け取り時間指定を受け付けていました。東京都新宿区と文京区でスタートし、2018年内に23区内に対象エリアを拡大予定でしたが、実現できませんでした。セブンアンドアイホールディングスはサービスを通して、一定の効果を検証できたとし今後傘下のイトーヨーカ堂で手掛けるネットスーパー事業でノウハウを活用するとしています。
情報源:クックパッドプレスリリース「生鮮食品EC「クックパッドマート」、保育園に第一号設置〜未就学児のいる共働き世帯における「買い物の不便」を解消〜」(2019/11/21)
日本経済新聞「セブンとアスクル、11月末で生鮮宅配サービスを終了」(2019/11/22)
11月22日、米スーパー大手ウォルマートの子会社であるネット通販サイトジェット(Jet.com)が、生鮮食品配送サービスを終了することを発表しました。同サービスは約1年前からニューヨークで提供されていたサービスですが、運用上の問題や頻繁に起こる品切れなどの問題からサービスの終了に至ったとみられています。今後ジェットは食料品や雑貨などの一般商品の提供に注力する予定です。なお、ジェットはウォルマートに2016年に33億ドル(約3,600億円)で、デジタルオペレーション強化の目的で買収されています。
情報源:CNBC"Walmart's Jet.com will no longer deliver fresh groceries"(2019/11/22)
11月23日、総務省は消費者物価指数の算出で、インターネット上の調査を拡大することを明らかにしました。消費者物価指数は、消費者が実際に買う価格を調べて、毎月公表するものです。家電や宿泊料について2020年からネット上で新たに約10品目の価格収集を始めます。同時に価格情報を自動で収集する新手法も導入予定です。価格競争が激しいネット通販の反映によって、指数が下押しされる可能性があります。すでに航空運賃やサプリメント、電子書籍などではネット上の価格を取り入れています。指数の基準は5年ごとに見直しており、次の2020年の改正時にネット通販の取集範囲を広げ、新基準による指数は21年夏ごろから公表される予定です。
情報源:日本経済新聞「物価のネット調査拡大 21年からテレビなど」(2019/11/23)
11月25日、米ネット通販大手アマゾンが共同購入方式の中国ネット通販プラットフォームであるピンドゥオドゥオ(拼多多)にポップアップストアを開設することを明らかにしました。12月末までの限定開店で海外商品を約1000品取り扱います。アマゾンは年末商戦に向けて中国の消費者取り込みを狙っています。なお、同社は7月に中国でのマーケットプレイス事業から撤退しており、現在は越境ネット通販のみ提供しています。