【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0609-0615

Today’s Topic
今週の注目は、「楽天、出店者の送料無料への参加義務の先延ばし」だよ!
●フィンテックサービスのインフキュリオン、決済動向に関する調査結果を発表

nihonn.pngフィンテックサービスを提供するインフキュリオンが実施した「決済動向2021年4月調査」によると、回答者(全国16~69歳の男女2万人)のQRコード決済の利用率が昨年6月の調査と比べて10%以上増加し、全体で54%と過去最高の記録になったことが明らかとなりました。同社は、QRコード決済の利用はさらに拡大していくと予測しています。また、個別キャッシュレスサービスの利用状況を比べると、楽天カード(43%)が依然として1位となり、次いで「PayPay」(37%)、そして交通系ICカード(34%)となりました。全体的なキャッシュレス決済利用率は家電量販店・電器店とガソリンスタンドが多く、いずれもクレジットカードが最も利用されています。QRコード決済に関してはコンビニエンスストアやドラッグストア・日用雑貨など小口利用の大手店舗で利用される傾向がみられました。キャッシュレス化が最も遅れているのは、病院・クリニック等が挙げられ、現金決済7割を超えます。なお、小売の提供するアプリについては約6割強が利用しており、主な利用方法としては「ポイントカードの表示(67%)」や「割引クーポンの利用(65%)」となっています。

情報源:同社リリースニュース 「決済動向2021年4月調査」(2021/06/09)

●米物流大手UPS、当日配送サービスを展開か

america.png6月9日、米物流大手の「ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)」は当日配送サービスを試験的に開始したことが、米日刊経済新聞のウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)より報じられました。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、パンデミックによりネット通販と配送サービスが急成長していることが当日配送サービス展開の背景となります。同社ライバルである米物流会社「フェデックス(Fedex)」は、すでに一部の地域で当日配送サービスを提供しており、ロボットを使った宅配も試験的に展開しています。なお、サービス展開について、UPS運輸・物流アナリストのジェフリー・カウフマン(Jeffrey Kauffman)氏によると、「すでにテクノロジー・インフラを整えているが、食品や雑貨配送には参入しない見通しだ」と語りました。

情報源:Pymnts.com " UPS Piloting Same-Day Delivery Model "(2021/06/10)

●インド財閥タタ、医薬品ECの1mgテクノロジーズを買収

India.png6月10日、インド最大の財閥「タタ・グループ(Tata Group)」は、子会社である「タタ・デジタル(Tata Digital)」を通じ、地場医薬品ECのスタートアップ「1mgテクノロジーズを(1mg Technologies Pvt. Ltd)」を株式取得の形で買収することを発表しました。取引額は明らかされていませんが、1mgテクノロジーズの評価額は4億5,000万米ドル(約493億円)で、タタ・グループは51~60%の株式を取得すると現地メディアより報じられました。今回の買収について、タタ・デジタルのCEOであるプラティック・パル(Pratik Pal)氏は、「1mgへの投資は、テクノロジー主導のプラットフォームを通じて、タタ・グループはオンライン医薬品分野で優れた顧客体験と高品質のヘルスケア製品やサービスを提供することが可能になり、当社医薬品ネット販売とオンライン診断の能力を強化することもできます」と述べています。

情報源:Vccircle " Tata Digital to acquire majority stake in digital health platform 1mg "(2021/06/10)

●ネットフリックス、アパレルや雑貨販売のオンラインストアを開設

america.png6月10日、米国動画配信サービス大手の「ネットフリックス(Netflix)」は、アパレルや雑貨を販売する初のオンラインストア「ネットフリックス・ドット・ショップ(Netflix.shop)」をオープンすることを発表しました。そのなかには、日本アパレル大手のBeamsとコラボレーションとして「EDEN x BEAMSコレクション」「Netflix x BEAMSコレクション」のカプセルコレクションも含まれます。商品としては、ストリートウェアなど、厳選された高品質のアパレルとライフスタイル関連製品がすでに販売されています。なお、現段階では米国のユーザーに向けてのみサービスを提供していますが、今後は利用範囲を世界中へ拡大していく見通しです。

情報源:同社リリースニュース " Introducing Netflix.shop: A New Way for Fans to Connect With Their Favorite Stories "(2021/06/10)

●米フードデリバリー大手ドアダッシュ、日本仙台へ初上陸

nihonn.png6月9日、米フードデリバリー大手の「ドアダッシュ(DoorDash)」は、仙台市をはじめに日本でサービスを開始することを発表しました。今回の事業展開は、同社にとってカナダ、オーストラリアに続く3カ国目の海外進出となります。ドアダッシュは、加盟店に対して自社のアプリやウェブサイトに導入できる注文・デリバリーシステム「ストアフロント(Storefront)」を提供し、2021年末まで利用手数料はゼロで、店舗側は決済手数料のみの負担でサービスを利用できます。今回の日本進出の背景として、日本のオンラインフードデリバリー市場が急成長していることが挙げられます。また、仙台市からのサービス提供については「十分な市場規模があり、都会と郊外のバランスをもっている」とドアダッシュ日本法人体表の山本竜馬氏が説明し、地域経済の活性化に力を入れていく同社の方針についても触れました。

情報源:The Bridge Japan 「米フードデリバリ大手DoorDash、日本でサービスを開始----まずは仙台から」(2021/06/10)

●楽天、出店者に送料無料への参加義務を発表するも、説明不十分を理由に先延ばし

nihonn.png6月10日、EC大手の楽天グループは、運営するECサイト「楽天市場」への出店者に対して、5月10日以降に出店契約を変更する場合、3,980円の送料無料ラインを義務付けたことが明らかになりました。楽天グループは送料無料の義務化について、出店契約を変更するケースが少ないと説明しており、また、店舗の状況により個別対応するとしています。しかし、事前告知を行わず契約変更時での説明に留まっていたため、説明不十分を理由に6月11日に送料無料の義務化を一旦停止することを発表、改めて7月1日に再開するとしています。

情報源:毎日新聞 「楽天市場、送料無料の義務化「凍結」 周知不足で 再開は7月1日」(2021/06/11)

●中国生鮮食品ECの2社、米国への新規上場を申請

china.png6月8日、中国生鮮食品ECの2社「ミスフレッシュ(毎日優鮮)」と「ディンドンマイツァイ(叮咚買菜)」は、米国証券取引委員会に新規上場を申請しました。テンセントが投資するミスフレッシュはナスダックへ、またソフトバンク出資のディンドンマイツァイはニューヨーク証券取引所へ上場する予定としています。ミスフレッシュは2014年に北京で創業され、生鮮食品のオンライン注文を受けてから平均約40分で配送を行います。2021年3月時点で3,100万人以上の有料顧客を獲得、2020年のGMVは11億6000万ドル(約1273億円)を超えています。一方で、ディンドンマイツァイは2017年上海で設立され、30分以内で生鮮食品を自宅まで届けるサービスを提供しています。2021年第1四半期のMAUは690万人となり、2020年のGMVは同期比177.7%増の約20億ドル(約2,194億円)に達しました。両社とも黒字を出していません。なお、ビジネスニュースのForbes Japanによると、上場の背景として、パンデミックにより中国の生鮮食品EC市場が急成長していること、また中国政府の独占禁止法に対する規制強化の動きなどを挙げています。

情報源:Forbes Japan 「ソフトバンク出資の中国の「生鮮食品アプリ」、米国でIPOへ」(2021/06/11)

●家電大手のヤマダHD、大塚家具を完全子会社化

nihonn.png6月9日、家電大手のヤマダホールディングスは、連結子会社である大塚家具を株式交換の形で完全子会社にすることを発表しました。これに伴い、大塚家具は8月30日付でJASDAQ上場が廃止となります。完全子会社化の背景としては、家具販売業界を取り巻く環境が激しく変化しており、これに対応すべく柔軟な改革が必要になっていることが挙げられます。これにより、両社の更なる協業関係や企業価値の向上を実現することが可能になり、既存ECサイトの改装や広告強化などによる大塚家具のデジタル化を加速する効果も期待されるとしています。

情報源:ネットショップ担当者フォーラム 「ヤマダHDが大塚家具を完全子会社化、ヤマダデンキとの連携やEC・DX投資を強化へ」(2021/06/11)

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