【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0623-0629

Today’s Topic
今週の注目は、「ペイパルの海外ネット通販のレポート、日本の越境EC利用率急拡大」だよ!

  今週の注目ニュースは「2021年ペイパル海外通販レポートを発表、2020年世界ネット通販売上高は27.8%増」です。PayPalは、これまでも越境EC利用を発表しており、2018年データによると日本は越境EC利用後進国で利用率は10%を満たない状況でしたが、2020年時点では21%にまで拡大しています。購入先としては、アメリカや中国、韓国が人気で、よく購入される商品はアパレルが挙げられます。レポートには、越境EC利用拡大の背景については明らかにされていません。しかし、時系列で読み解くと2018年にはeBay Japanが韓国GiosisよりオンラインマーケットプレイスQoo10を買収し、日本向けにサービスを刷新。今では若年層の間で人気な中国や韓国の化粧品や雑貨を安価で購入できるとして支持を得ています。特に、2020年は日頃近隣国に旅行で訪れていた一定層が、渡航制限を受けて越境EC利用にシフトした傾向がみられています。そのため急拡大した日本消費者の越境EC利用率ではありますが、今後、ワクチン接種が進み再び海外旅行が解禁された暁には、利用が減る可能性も考えられそうです

●米配車大手のウーバー、コーナーショップの買収で中南米地域の食品配送事業拡大へ

latin america.png6月21日、米配車大手の「ウーバー(Uber)」が、全株式取得の形で中南米の食料品デリバリー「コーナーショップ(Cornershop)」を完全子会社化することが明らかにされました。コーナーショップは2015年に創業され、チリやメキシコ、ブラジルなどの中南米市場を拠点に食料品デリバリー事業を展開しており、2019年時点で合計3,170万ドル(約35億円)を調達しています。ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏(Dara Khosrowshahi)によると、ウーバーの食料品とその他事業の年間取扱高が30億ドル(約3,300億円)を超えているとのことです。今回の買収により、同社が提供する食料品即日配達のサービス領域のグローバル展開を強化することができると報じられました。

情報源:TechCrunch 「Uberが中南米の食料品配達スタートアップCornershopを完全子会社化」(2021/06/22)

●米アマゾン、有料会員向けのセール「プライムデー」で過去最高の販売額を更新

america.png6月23日、米国ソフトウェア会社の「アドビ(Adobe)」が発表したデータによると、米ネット通販大手の「アマゾン(Amazon)」が、毎年恒例で開催される有料会員向けの通販セール「プライムデー(Prime Day)」で、過去最高の販売額を更新しました。今年のプライムデーは、6月21日から6月22日までの2日間に実施され、アマゾンの米国オンライン小売り総販売額が前年同期比6.1%増の110億ドル(約1兆2,200億円)に達したとしています。内訳として、開催初日の米国内売上高が56億ドル、二日目の売上高が54億ドルになります。また、アドビのディレクターであるテイラー・シュライナー氏(Taylor Schreiner)は、「消費者がパンデミックから日常生活に戻りつつあることを背景に、オンラインで買い物するニーズが減るが、プライムデーのハロー効果が大手と中小オンライン小売業者の収益拡大に重要な役割を果たした」とコメントしました。

情報源:CNBC " Total e-commerce sales during Amazon Prime Day surpass $11 billion, Adobe says "(2021/06/23)

●イーベイコリア、韓国財閥の新世界グループより3,368億円で買収される

Korea.png6月24日、韓国財閥「新世界グループ(Shinsegae Group)」の子会社であるディスカウントストアの「イーマート(E-Mart)」が、3兆4,400億ウォン(約3,368億円)で米ネット通販「イーベイ(E-bay)」の韓国事業「イーベイコリア(E-bay Korea)」を買収することを発表しました。買収された株式はイーベイコリア持分の80%を占め、残りの20%株式は米国にあるイーベイ本社が引き続き保有することが明らかにされました。買収の背景として、韓国ネット通販市場は2018年から2020年にかけて41%拡大しており、業界最大手の「クーパン(Coupang)」と対抗するため、新世界グループが伸び悩んでいたイーベイコリアを買収するとしています。また、英ニュース通信社のロイター(Reuters)によると、同買収は2021年内か2022年始に完了する見通しとしています。

情報源:Reuters " 「韓国のイーマート、イーベイ韓国事業の80%を30億ドルで取得へ」 "(2021/06/24)

●米小売大手ウォルマート、AI活用で顧客向けのグロサリー代替品提案を実現させる

america.png6月24日、米小売大手の「ウォルマート(Walmart)」が、AI技術を活用することで、在庫が切れたオンライングロサリーの代替品の提案を実現していることを紹介しました。ウォルマートは2020年から、顧客満足度を向上させるため、商品の在庫が切れた際に顧客に対して最適の代替商品を提案できるアルゴリズムを開発しています。具体的には、同社に訪問する、1週間当たり2億人の消費者のオンラインと実店舗でのグロサリー購買データに基づいて、AIが消費者の行動や好み、需要を予測するとしています。また、システム導入の効果として、消費者の代替品受け入れ割合は、開発最初の90%から、現在97〜98%にまで増加しているそうです。

情報源:同社リリースニュース " How Walmart is Using A.I. To Make Smarter Substitutions in Online Grocery Orders "(2021/06/24)

●グルメサイトのぐるなび、楽天と連携したデリバリー事業を7月から開始

nihonn.png飲食店予約サイトの「ぐるなび」は、ネット通販大手「楽天グループ」との連携により、7月1日からデリバリー・テイクアウトサービスを開始することが明らかにされました。新サービス名は、「楽天ぐるなびデリバリー」もしくは「楽天ぐるなびテイクアウト」であり、楽天の1万超の店舗を加えて、加盟店舗数は合計5万5,000軒になるとしています。ぐるなびは7万~10万店舗を抱えるデリバリー大手の「ウーバーイーツジャパン(Uber Eats Japan)」や「出前館」の品揃えに比べると見劣りしますが、1億人の会員がいる「楽天経済圏」を活用することでこれらに対抗していくと報じられました。また、ぐるなびは新規顧客開拓を狙い、サービスの運営開始を記念して、ポイント付与などの販促キャンペーンも実施する予定です。

情報源:日本経済新聞 「ぐるなびx楽天、料理宅配7月から 『1億人経済圏』活用」(2021/06/28)

●中国生鮮食品ネット通販ミスフレッシュが上場初日に株価暴落、ディンドンマイツァイにも影響を与えるか

china.png6月25日、中国生鮮食品ネット通販「ミスフレッシュ(毎日優鮮)」は、米国ナスダック市場に上場した直後に株価が初値の13ドル(約1,436円)から25.7%急落し、9.66ドル(約1,067円)で取引を終えました。中国では急成長を遂げる生鮮食品のネット通販市場ですが、自前で物流を手掛けるためコストがかさむこと、またアリババや京東などの大手との熾烈な競争環境にあるなか、赤字状態が続いています。ミスフレッシュは、投資家との共通認識を持つことで、中長期的な発展に繋げる計画としています。なお、同時期に競合の「ディンドンマイツァイ(叮咚買菜)」も上場申請をしていますが、この影響を受けるかどうかはまだ不明とされています。

情報源:Forbes 「テンセント出資の食品EC『毎日優鮮』、米国IPO直後に株価急落」(2021/06/28)

●2021年ペイパル海外通販レポートを発表、2020年世界ネット通販売上高は27.8%増

global.jpg6月28日、米決済サービス大手「ペイパル(PayPal)」が、日本や米国、中国など13か国の市場における調査「2021年ペイパル海外通販レポート(PayPal 2021 Borderless Commerce Report)」を発表しました。同レポートによると、新型コロナウイルスの影響を受け、2020年の世界ネット通販売上高は、前年同期比27.8%増の4兆2,800億ドル(約473兆円)まで急増しました。また、2021年の世界のネット通販市場はさらに14.3%増加し、4兆8,900億ドル(約540兆円)へと成長することが予想されます。ネット通販の発達に伴い、消費者は多様なデジタル決済手段を用意されることを好む傾向にあります。日本では、これまでオンラインショッピングの決済方式としてクレジットカードや現金が主流でしたが、デジタル決済の利用も増加しています。特にデジタルウォレットの普及率は2019年から2023年の間に倍増すると予測され、日本におけるキャッシュレス決済率は2025年までに40%になると予想されています。また、日本市場のもうひとつの特徴としては、海外通販サイトの利用率が急拡大したことが挙げられます。過去のペイパルの調査では、日本は海外通販サイト利用において後進国で2018年時点では、その利用率は10%未満となっていましたが、2020年には20%超となりました。

情報源:PRTIMES 「『2021年ペイパル海外通販レポート』を発表」(2021/06/28)

●米国ハンドクラフト専用オンラインマーケットプレイスのエッツィー、ブラジル同業者のイロセブンを買収

Brasil.png6月28日、米ハンドクラフト専用オンラインマーケットプレイス「エッツィー(Etsy)」は、ブラジル大手の同業者である「イロセブン(Elo7)」を2億1,700万ドル(約240億円)で買収することを発表しました。エッツィーは、6月に英国フリマアプリの「ディポップ(Depop)」を16億2,500万ドル(約1,780億円)で買収したばかりです。「ブラジルのエッツィー」とも呼ばれるイロセブンはブラジル最大規模のハンドクラフト専用オンラインマーケットプレイスであり、5万6,000人以上の出品者と190万人のユーザーを擁し、800万点ものアイテムが販売されています。エッツィーのCEOであるジョシュ・シルバーマン氏(Josh Silverman)は、「イロセブンを買収することにより、当社は南米に基盤を確立できる」と述べており、南米事業を本格的に拡大することを示しました。

情報源:TechCrunch 「eコマースEtsyが英Depopに続き『ブラジルのEtsy』ことElo7を約240億円で買収」(2021/06/29)

この記事の関連タグ