【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0630-0706

Today’s Topic
今週の注目は、「米衣料品のギャップ、欧州で実店舗運営から撤退を発表」だよ!

  今週の注目は「GAPが英・アイルランドでの全店舗閉鎖、オンライン販売へ移行!」です。米アパレル大手のギャップ(GAP)が、英国とアイルランドで展開する全店舗を8月末から9月末までに閉鎖すると発表。フランスやイタリアでも店舗売却に向けて、パートナーと協議を進めているという衝撃的な内容。コロナ禍において欧米の大手小売やブランド実店舗の存在価値を改めて認識しており、具体的にはBOPISによる店舗受取対応、そして店舗のマイクロフルフィルメントセンター化による配送の改善といった顧客体験向上のための活用が進みました。実際、ギャップもこうした取り組みを実施しており、パンデミックを乗り越える上で重要な施策であったとしています。実際にイギリスとアメリカの店舗に訪れたことがありますが、イギリスの店舗はアメリカと比べ狭く、店舗を活用したオペレーションがアメリカほど円滑に進まなかったことが考えられます。加えて、イギリスでは近年ハイストリートブランドとオンラインファストファッションブランドの競争激化が進んでおり、2020年にはエイソスが老舗ハイストリートブランドを買収するといった動きも見られました。こうした厳しい競争環境が、ギャップの思い切った店舗閉鎖に繋がったのかもしれません。

●カナダネット通販プラットフォーム「ショッピファイ」、カンファレンスで過去最大級のアップグレードを発表

Canada.png6月30日、カナダネット通販プラットフォームの「ショッピファイ(Shopify)」が、年に一度開催するカンファレンス「Shopify Unite 2021」で新機能について発表しました。今回の目玉としては、過去最大級のアップグレードといわれる「オンラインストア2.0」のリリースが挙げられます。オンラインストア2.0では、メタフィールド機能と新テーマ「ドーン(Dawn)」が追加され、コードの編集をしなくても、ストアのデザインをカスタマイズすることが可能になります。また、コンバージョン改善のための新機能として、ショッピファイメールのパーソナライズ化、決済方法の多様化などが発表されました。さらに、カスタムストアフロントの編集、商品の受取ロケーションの指定などもできるようになり、購買体験を向上させることができます。なお、米国限定のアップグレードとして、商品販売を強化するため、卸売のマーケットプレイスである「ハンドシェイク(Handshake)」が新しく発表されました。

情報源:ECのミカタ 「Shopify、『史上最大規模』のアップデート"オンラインストア2.0"を公表」(2021/06/30)

●英小売大手のアスダ、1時間以内の速達サービスを開始

UK.png6月30日、英小売大手「アスダ(Asda)」が、商品を1時間以内に配達するサービス「エクスプレス・デリバリー(Express Delivery)」を7月より3店舗で開始すると発表しました。エクスプレス・デリバリーは、対象店舗の半径3マイル以内に住む顧客に向け、1回の注文につき最大70点の商品を即時で配送するというサービス。一回の配送料金は8.5ポンド(約1,308円)であり、最低購入金額は設置されていないそうです。なお、自社配達サービスの開始に加え、アスダは米食料品配達大手「ウーバー・イーツ(Uber Eats)」との提携店舗数は300軒に達したことも明らかにされました。同社オンライン・グロサリー業務の副社長であるシモン・グレッグ氏(Simon Gregg)は、「アスダが小売業界をリードするスピードで商品を消費者のところまで届けに行きます」とコメントしています。

情報源:リリースニュース " Asda launches one-hour Express Delivery service "(2021/06/30)

●ネット通販のフリップカート、ソーシャルコマースの「ショップシー」を提供開始

India.png7月2日、米小売大手「ウォルマート(Walmart)」傘下のインドネット通販企業「フリップカート(Flipkart)」は、個人や中小事業者向けに新たな通販サイト「ショップシー(Shopsy)」を立ち上げたことを発表しました。同サイトでは、グロサリーは含まれていませんが、ファッションやコスメ、デジタル製品などの分野をカバーする約1.5億の商品を提供。個人や中小事業者がワッツアップ(WhatsApp)などのSNSを通じて自社商品を紹介することができ、購入する際にはショップシーに遷移する仕組みになります。また、今後の目標について、カナダネット通販大手の「ショッピファイ(Shopify)」と似たビジネスモデルで事業を拡大する計画で、個人や中小事業者が自社サイトを構築することを支援し、さらに、事業者数を2023年まで2500万人以上増やす見通しです。なお、インドのソーシャルコマース「ミショ(Meesho)」に3億ドル(約330億円)を出資している日本大手の通信業者「ソフトバンクグループ」は、ショップシーへの投資も交渉しているそうです。

情報源:The Economic Times " Flipkart seeks to do a Shopify with Shopsy "(2021/07/02)

●GAPが英・アイルランドで全店舗閉鎖、オンライン販売へ移行!

EU.png7月1日、米衣料品の小売大手「ギャップ(Gap)」が、欧州で実店舗運営から撤退すると宣言し、イギリスとアイルランドで運営する合計81店舗を9月まで閉鎖することを発表しました。また、フランスやイタリアでの約30店舗を現地企業に売却する見通しです。ギャップは、2020年10月にオンライン販売に注力する経営方針を打ち出し、北米で展開する実店舗の約3分の1にあたる350店舗を閉鎖することを決めました。今回の欧州での店舗閉鎖もその一環と言われています。また、オンライン販売への注力以外の理由として、新型コロナウイルスで同社の実店舗販売が打撃を受けたほか、ネット通販の発展やライバルであるスペインのアパレル大手「ザラ(ZARA)」との競争が激しくなっていることも報じられました。

情報源:日本経済新聞 「米ギャップ、英の全店閉鎖 オンライン販売に移行」(2021/07/02)

●最低法人税率を15%にする新国際課税ルールが2023年実施へ、130カ国・地域が合意

global.jpg7月1日、経済協力開発機構(OECD)が発表した声明によると、139加盟国のうち、9割にあたる130カ国・地域が新たな国際課税ルールで合意しました。残りの9カ国には欧州の低税率国が多く、自国の利益にマイナスな影響が与えられることから反対したそうです。新課税ルールは、法人税率を最低15%と設定しており、2023年から実施することを目指します。また、経済協力開発機構によると、最低法人税率の改定により年間約1,500億ドル(約16兆6,236億円)の税収増加が期待できるとしています。多国籍企業への影響としては、1,000億ドル(約11兆824億円)を超える利益に対する課税権が利益を得た国に移行するため、これまで税率の低い国に拠点を構えてきた企業は、その恩恵を受けることができなくなります。なお、経済協力開発機構が2021年10月までに詳細な実施計画を最終決定する見通しです。

情報源:Reuters 「国際課税ルール23年実施へ、130カ国・地域 最低法人税率15%」(2021/07/02)

●中国政府、法令違反で配車大手「滴滴」にダウンロード停止を命じる

china.png7月4日、中国政府が、同国配車アプリ大手「ディディ(滴滴)」に対して、ネットワーク安全法(サイバーセキュリティー法)違反でアプリの新規ダウンロードを停止することを命じました。法令違反の処置が発表した後、ディディは、「すでにダウンロードしたユーザーは正常に配車サービスを利用できます」と説明し、セキュリティー問題の改善を約束しました。ダウンロード停止に至った経緯としては、中国当局が7月2日にディディに対して違法で情報収集の疑いで審査を開始したとしています。なお、中国政府による規制が強化している中、6月30日に上場したばかりのディディの株価や今後の事業にも悪影響が出る可能性があると日本経済新聞が報じています。

情報源:日本経済新聞「中国・滴滴、当局が違法行為認定 ダウンロード停止」(2021/07/04)

●Zホールディングス、アスクル及び出前館と協業で即時配送をテスト展開

nihonn.png大手ネットサービスの「Zホールディングス」が、通販企業の「アスクル」およびデリバリーの「出前館」と協業し、即時配送サービスを2021年7月末からテスト展開することが明らかにされました。展開地域は、東京都板橋区を含む一部エリアから始まり、利用状況に応じて順次拡大するとしています。協業により、ユーザーは出前館を通じて、アスクルが取り扱っている約300種類の商品を注文することができます。配送するライダーは注文を受けると、指定された倉庫に荷物を取りに行き、最短15分で届けるとしています。Zホールディングスによると、今回の実証実験では、主にドリンクなど「すぐ楽しみたい」商品の需要に応えることを目的としています。

情報源:PRTIMES JAPAN 「Zホールディングス、アスクル・出前館と協働し日用品や食料品の『即配サービス』の実証実験を開始」(2021/07/05)

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