【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0303-0309

Today’s Topic
今週の注目は、「アマゾン、店舗戦略の見直しに伴い英米の実店舗68店を閉鎖へ」だよ!
●ザランド、2021年第4四半期と通期決算を発表。売上高が100億ユーロを突破

germany.png独ファッションネット通販「ザランド(Zalando)」が、2021年第4四半期と通期決算を発表し、ついに売上高が100億ユーロを突破しました。通期売上高としては前年対比29.7%増の104億ユーロ(約1兆3,291円)、流通総額(GMV)は同34.1%増の143億ユーロ(約1兆8,275円)となり2025年までには300億ユーロ(約3兆8,340億円)にまで増やすことを目指します。2021年には新たにクロアチアとエストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、スロベニアの東欧6か国への展開を進め、現在23市場でサービスを提供。新たに約1,000万人の顧客を増やし、現在アクティブ利用者数は約4,800万人、一人当たり5.2回商品を注文しています。有料会員プログラムの「ザランド・プラス(Zaland Plus)」の利用者数は100万人を超え、2023年には2倍にまで増やすことを計画。また、出店事業者数も順調に増えており、現在5,800以上のブランドパートナーと7,000以上の店舗が登録されている状況です。現在、同社の注力するパートナー・プログラムやコネクテッド・リテール(Connected Retail)アカウントは、ファッションストアGMVの約30%を占め、今後50%にまで増やすことを目指しています。そのために、2023年までに4-5億ユーロ(約511-639億円)を投じて新に4つのフルフィルメントセンターを開設することを発表しました。この他に、同社では近年サステナブルへの投資も増やしており、現在取り扱うサステナブル関連の商品は14万点を超え、GMVの約21.6%を占めます。2022年以降は、パッケージの最適化に取り組むことに注力し、例えばパッケージサイズの最適化によるゴミの削減やプラスチックから紙バッグへの移行なども挙げています。

情報源:同社PR "Zalando on track with 2025 growth plan fueled by strong customer growth in 2021"(2022/03/01)

●エピック・ゲームス、オンラインマーケットプレイスを買収へ

america.png人気ゲームフォートナイト(Fortnite)の開発事業者である「エピック・ゲームス(Epic Games)」がオンラインマーケットプレイス「バンドキャンプ(Bandcamp)」の買収を発表しました。同社ではフォートナイト以外にも、ゲームやメタバース空間を構築できる3Dクリエーションツールのアンリアル・エンジン(Unreal Engine)を提供しており、同ツールを中核にゲーム関連のクリエイター経済圏が構築されています。また、買収したバンドキャンプは、ミュージシャンがファンと直接接点を構築することが特徴となっています。エピック・ゲームスはバンドキャンプの買収により、よりクリエイターが収益を上げやすい仕組みを作り、クリエイター経済圏の拡大を目指します。今後は、コンテンツ、テクノロジー、ゲーム、芸術、音楽などの販売を可能にしたいと考えています。

情報源:Band Camp Blog"Bandcamp is Joining Epic Games"(2022/03/02)

●ウーバーイーツ、国内加盟店舗数を30万店へ

nihonn.pngフードデリバリーサービスの「ウーバーイーツジャパン」は、3月に宅配サービスを全国規模に増やすことを発表しました。デリバリーやピックアップに対応する飲食・小売店との提携を強化し、現状の2倍である30万店舗にまで増やすことを目指します。取扱商品について日用品や雑貨などを加え、約10万人いる配送要員をさらに増やし、宅配網を整備していきます。なお、最近ではウーバーイーツの競合も都心部から地方へサービス拡大を強化しています。例えば、出前館は2021年末に大手物物流のセイノーホールディングスと業務提携することで、降雪地帯や過疎地への配送地域の拡大を進めました。調査会社のエヌピーディー・ジャパンによると、2021年のフードデリバリー市場は約7,909億円となり、2019年と比べ2倍に拡大。一方で、競争激化に伴い撤退の動きも見られており、例えば独デリバリーヒーロー傘下のフードパンダ(FoodPanda)は、2022年1月に日本でのサービスを終了しています。

情報源:日本経済新聞 「ウーバーイーツ、料理宅配全国に 加盟店倍増の30万店」(2022/03/02)

●サンリオ、年間3億円のシステム投資でEC化率30%を目指す

nihonn.pngキャラクター大手の「サンリオ」がオンライン販売の強化を目的に、今後、年間3億円ほどをシステム開発などに投じて、全体のEC化率を30%にまで拡大することを目指します。2021年4~12月期の国内物販事業売上高は133億円、そのうちオンライン売上の占める割合は20%。一方で店舗固定費などが嵩み、営業損益は3億7,000万円の赤字となりました。2022年から始まる中期計画では、システム投資によるオンライン販売の拡大とともに、赤字状態の店舗を閉鎖し国内物販事業の構造改革を進めていきます。同社では、これまで既成のシステムを採用してきましたが、より柔軟に顧客ニーズに対応する上で、今後は自社開発にシフトし、顧客がオリジナル商品を作成する機能などを増やしていきます。

情報源:日本経済新聞 サンリオ、EC比率3割に システムなど3億円投資」(2022/03/02)

●クーパン、2021年第4四半期と通期決算を発表、過去最大の赤字を記録

Korea.png韓国大手ネット通販「クーパン(Counpang)」が2021年第4四半期および通期決算を発表しました。2021年度の売上は前年対比54%増の184億ドル(約2兆1,401億円)となり、営業利益は15億ドル(約1,746億円)と過去最大の赤字を記録しました。赤字の要因としては、2021年6月に発生したイチョン市トクピョンニの火災からの回復のための施設投資などが影響しています。一方で、引き続き物流を整備したことにより利用者数は順調に伸び、前年対比21%増の1,793万人。これは韓国のEC利用者の約半分を占めます。また、同社では月額2,900ウォン(約273円)の有料会員制度を提供していますが、これに無料の配送サービスや限定価格での商品販売に加え、新たに無制限の動画配信サービスや旅行の割引サービスなどの提供も始めており、会員数を900万人にまで増やしています。

情報源:同社PR "Coupang Announces Fourth Quarter Revenue Growth of 34% and Constant Currency Revenue Growth of 39%"(2022/03/02)

●アマゾン、店舗戦略の見直しに伴い英米の実店舗68店を閉鎖へ

america.png大手通販「アマゾン(Amazon)」が、今後英米で実店舗68店を閉鎖することが報じられました。閉鎖の対象となるのは、アマゾン・ブックストアやアマゾン・フォー・スター・ストアなど、オンラインショッピングの窓口となるような位置づけで展開してきた店舗です。同社では、今後閉鎖対象の店舗について個別に発表すると同時に、従業員の異動についても模索している状況です。アマゾンが、このような大量閉店に踏み切った背景としては、新型コロナの感染拡大に伴い店舗への来店が激減したことが挙げられます。また、今回の閉店の決定は、組合が生鮮食料品ビジネスのアマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)における賃上げや労働環境の改善といった要望を発表した後に行われたことから、実店舗事業を重視していないメッセージを社内に広げたともいわれています。なお、アマゾンでは引き続きアマゾン・フレッシュ店舗の拡大や、最近ロサンゼルスでオープンしたアマゾン・スタイル(Amazon Style)などのコンセプトストアの開発は進めるとしています。

情報源:TechCrunch "Amazon to close 68 physical retail locations, including Amazon Books and 4-star stores"(2022/03/03)

●グラブ、2021年第4四半期及び通期決算を発表、利用者獲得の投資で損失が拡大

singapore.pngシンガポールの大手テック系企業「グラブ(Grab)」が2021年第4四半期及び通期決算を発表しました。通期での流通総額は前年対比29%増の161億ドル(約1兆8,726億円)を記録。売上高は同44%増の6億7,500万ドルと大きな成長を見せ、特に配送や金融サービスが売上拡大を後押ししました。一方で、割引などインセンティブへの投資を増やしたことで営業損失は36億ドル(約4,187億円)の赤字となりました。また、同社では配送や金融など複合的なサービス利用を拡大するための買収や提携を増やしており、2022年1月にはマレーシアの大手スーパーのジャヤ・グローサー(Jaya Grocer)を買収し、今後、同スーパーで決済のグラブ・ペイ(Grab Pay)やポイントサービスのグラブ・リワード(Grab Reward)を導入することを計画しています。また、第4四半期ではシンガポールのマクドナルド(McDonald`s)、そして東南アジア全域でスターバックス(Starbucks)との協業を進め、これら事業者との提携による決済やポイント、広告といったサービスの提案を行っていきます。

情報源:同社PR "Grab Reports Fourth Quarter and Full Year 2021 Results"(2022/03/03)

●大手ネット通販事業者、ウクライナへの支援を表明

ukraine.pngロシアによるウクライナを侵攻したことで、多くの外資系企業がロシアでのサービス停止を表明する中、米大手ネット通販の「アマゾン(Amazon.com)」と「イーベイ(eBay)」そして「エッツィー(Etsy)」の3社が、それぞれウクライナへの支援を行うことを表明しました。アマゾンは、人道的支援のために寄付金をNGOに提供するほか、物資支援の援助、そして政府や企業に対してサイバーセキュリティ対策の支援を行います。また、イーベイは従業員とマッチング寄付を行うことを発表しました(マッチング寄付とは、会社が社員からの寄付金に対して上乗せして寄付をすることを指し、今回イーベイは2倍を寄付すると表明)。また、サイトの利用者もチェックアウト時に寄付を行うことができ、イーベイではこちらの金額に対するマッチング寄付も行います。エッツィーではウクライナの出店事業者がエッツィーに出店する際に負担する必要のあるリスティングや決済、広告といった費用負担をなくすと表明し、金額にして400万ドル(約4億6,524万円)と概算されています。。

情報源:Eseller 365 The 3 Big eCommerce Marketplaces Show Support For Ukraine Through Current Conflict (2022/03/03)

●京東、即時配送「達達」を連結子会社

china.png中国ネット通販大手の「京東」が即時配送サービス事業者「達達」に追加出資を行い、出資比率を47.4%~52%に引き上げることで連結子会社化したことを発表しました。達達は2014年に上海で設立され、2020年にナスダックに上場しています。京東との協業においては、同社の提供する即時配送サービス京東到家の配送を担っています。また、2021年の独身の日セールでは、共同で新サービス「小時購」を開始しました。小時購のロゴの商品を注文すると、位置情報に基づいて自宅から3-5キロ圏内の店舗の在庫から約1時間で商品を届けるというものです。京東では物流の効率化のために、自社アプリ内でも即時配送の窓口を共通化する方針をあげており、今後提供する様々な宅配モデルを集約するとみられています。

情報源:365Kr 「EC大手京東、即時配送「達達」連結子会社に。店舗からの宅配強化」(2022/03/04)

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