米大手総合小売クローガー(Kroger)が半導体メーカーのエヌビディア(NVIDIA)との協業で、店舗での買い物体験改善のためのデモンストレーションセンターを開発することを発表しました。デモンストレーションセンターでは、AIやデジタルツインを用いたシミュレーションで、店舗のレイアウトやオペレーションを改善していきます。エヌビディアではテクノロジーを提供することにより、コンピュータビジョンとアナリティクスで生鮮食料品の鮮度の測定、農場から家庭まで鮮度を保って商品を届けるためのラストマイルデリバリーのダイナミックルーティング、そしてデジタルツインストシミュレーションによる店舗運営の効率化を支援していきます。
情報源:NVIDIA PR "Kroger and NVIDIA to Reinvent the Shopping Experience Through State-of-the-Art, AI-Enabled Applications and Services"(2022/03/22)
3月23日、メッセンジャーアプリのLINEがNFT(非代替制トークン)を使ったデジタルコンテンツの取引所「LINE NFT」を4月13日から開始することを発表しました。デジタル作品は同社の運営するモバイル決済のLINE PAYを用いて購入することができ、取引所での売買に加えLINEの友人同士とも送りあうことが可能。100種類以上のコンテンツ販売を計画しており、その中にはスクウェア・エニックスのゲームキャラクターのコンテンツや芸能事務所吉本興業の人気芸人の動画などを取り扱うことが計画されています。LINEは利用者数を9,000万人抱えており、これを強みにNFTの普及を図ります。将来的にはZホールディングス傘下のグループ会社の協力も予定しており、例えばファッションネット通販のゾゾは、人気ブランドのNFTコンテンツの販売、また決済手段としてはPayPayの導入も検討しています。
情報源:日本経済新聞 「LINE、NFT取引所を開設 デジタル作品100種超を販売」(2022/03/23)
3月22日に、メタ(Meta)が運営する画像共有SNSのインスタグラム(Instagram)は、すべてのユーザーに対して商品のタグ付け機能を開放することを発表しました。これまではクリエーターに限定して提供していたものですが、すべてのユーザーが利用できるようにすることで、フォロワーは紹介されている商品を見つけやすくなり、同時に企業にとってもインストグラム上のオーディエンスを増やすことが可能となります。企業側は商品が自社ブランドでタグ付けされた投稿の確認や、タグ付けできるユーザーの制限ができます。インスタグラムによると、1週間当たり160万人以上がひとつ以上のブランドのタグ付けを行っており、これによりショッピングをよりスムーズにすることができるとしています。同社では、近年、ソーシャルコマース向け機能の拡充に取り組んでおり、2020年にインスタグラムで開設されるショップをブラウジングできる専用の「ショップ」タブを設計したほか、2021年にはアメリカ限定でショップタブ上に「ドロップ」機能を追加し、近日発売される新商品を確認できるようにしました。
情報源:TechCrunch Japan 「Instagramが商品のタグ付け機能を米国の全ユーザーに拡大」(2022/03/24)
メタ(Meta)が出資する印ソーシャルコマースのミーショ(Meesho)が、今後ブランドプロダクトの取り扱いをパーソナルケアやエレクトロニクスなどの商材カテゴリーで拡大していくことを発表しました。同社では近年直販事業も強化しており、現状では流通総額(GMV)の内約6割が直販で、残りがソーシャルコマース経由の売上となっています。直販事業への参入によりアマゾン・インド(Amazon India)やフリップカート(Flipkart)と協業し始めています。現状、同社ではノンブランドの取り扱いが中心となっていますが、直販事業の顧客の購買行動ではブランド商品を好む傾向がみられており、この層からの売上を拡大することを狙い、今回ブランド商品の取り扱いの拡大に踏み切ったといわれています。
情報源:The Hindui Business Line "Meesho to accelerate sale of branded products "(2022/03/24)
「取引デジタルプラットフォーム(DPF)消費者保護法」が、5月1日より施行されます。同法ではECモール運営事業者に対して消費者保護の義務を課しており、消費者被害の救済をしやすくことを狙います。これまでも特定商取引法に基づいて、販売事業者の指名や住所などの開示が義務付けられていましたが、実際は虚偽記載もみられ、売り手との連絡に繋がらないことが問題となっていました。新法では、ECモール運営者は販売事業者の登録受付や変更時に登記情報など公的書類の提出を求める、販売事業者の指名が登録銀行情報と一致していることを確認するなどが指針案に盛り込まれています。また、消費者は1万円を超える損害賠償を請求する場合、ECモール運営者は販売事業者の情報を開示できる権利も新しく付与します。
情報源:日本経済新聞 「ECモールに消費者保護義務 新法施行、個人取引課題に」(2022/03/25)
3月24日、欧州連合は大手IT事業者を規制する新たなデジタル市場法に合意したことを発表しました。対象となる企業は「過去3年の欧州連合域内での売上高75億ユーロ(約1兆円)以上」か「時価総額750億ユーロ(約10兆円)以上」の企業で、欧州連合域内に月4,500万人以上の利用者、1万以上の法人となっており、グーグル(Google)やアマゾン(Amazon)などのアメリカの大手企業に加え、グローバル展開する他の企業も対象となる可能性が出てきます。同法が施行されると、これまでアマゾンなどで度々問題となっていた、オンラインマーケットプレイスでの自社に有利な商品の検索結果を上位に表示することの禁止となります。また、合意内容のひとつとしては、メッセージの相互運用に関して重大な変更を求めるものが挙げられ、グーグルやアップル(Apple)、メタ(Meta)に対して、メッセージ内容を他社サービスに転送できるようにするといった相互運用性を求めています。なお、違反した場合、制裁金はグローバル売上高の最大10%に上り、1兆円を超えるケースもあり得ます。
情報源:Cnet Japan 「EU、大手ITの規制強化で合意--「デジタル市場法」制定へ」(2022/03/28)
3月28日、東南アジアネット通販大手ショッピー(Shopee)を運営するシー(Sea)がインド市場からの撤退を発表しました。これはフランスに続き2か国目となります。同社では赤字が続いており、株価もピーク時と比べ70%ほど下がっている状況で、展開国の選択と集中により業績改善を進める計画です。インド国内では先行するアマゾン・インド(Amazon India)、フリップカート(Flipkart)、ミーショ(Meesho)などと対抗するために、大幅割引で商品を販売してきました。こうしたプロモーションは地場企業の反感を受け、全インド商業者連合などの団体が政府に苦情の申し立てを行っていました。また、インド市場の撤退は業績の悪化以外に、インド政府の中華系企業の締め出しの影響もあるとみられています。シーは本拠地をシンガポールに構えますが、中国ネットメディア大手テンセントからの出資を受けています。政府は、同社のグループ事業が展開するゲームのフリー・ファイヤ(Free Fire)の配信禁止を命じたばかりです。
情報源:TechCrunch "Sea's Shopee shutting down India operations"(2022/03/28)
米オンライン生鮮食品販売のインスタカート(Instacart)が、新たにソフトウェア販売とフルフィルメントサービスを提供し始めることを発表しました。同社では、ギグワーカーによる生鮮食料品配送サービス以外の新しい収益源の確保を進めており、今回の生鮮食品向けソフトウェアとフルフィルメントサービスの提供は、はその取り組みのひとつとみられています。これまで培ってきたオンラインでの生鮮食料品販売やリテールメディア運営のノウハウが詰まったソフトウェアとなっています。また、フルフィルメントにおいてはキャロット・ウェアハウス(Carrot Warehouse)と呼ばれるマイクロフルフィルメントセンターから15分配送を提供する。なお、同社では生鮮食料品販売専用ソフトウェアのフードストーム(Foodstorm)を買収していますが、現時点では同ソフトウェア販売停止について言及しておらず、独自プラットフォームと並行して販売する模様です。
情報源:Retail Dive "Instacart unveils suite of services for retailers, including 15-minute delivery"(2022/03/30)