EC業界ニュース】Weekly Topics! 0525-0531

Today’s Topic
今週の注目は「Nykaa、Meituan、Pinduoduo、Allegro4社が決算発表」だよ!
●米国で小売窃盗件数が急増・インフレによる治安悪化やオンラインでの転売目的の窃盗が増加

america.png  5月15日、米ニューヨーク市のEric Adams(エリック・アダムス)市長は過去5年間でニューヨーク市の小売窃盗件数が44%急増したことを受け、市全体での対処策を計画していることを発表しました。Eric Adams市長は窃盗により、店舗の閉鎖に繋がっている企業も少なくないと説明しています。すでにニューヨーク市は窃盗容疑の人々を逮捕する代わりに更生プログラムへ誘導する計画に900万ドル(約12億5,800万円)を投資しており、対処策では消費者の薬物乱用やメンタルヘルス、貧困などの課題を支援するプログラムへの誘導に取り組みます。また、オンライン販売で転売するために窃盗を行う犯罪者への対処策も検討されています。転売目的の窃盗事件の3分の1近くは再犯者による事件であるため、Eric Adams市長は早急な対策を進める必要があると説明しています。

情報源:RetailDive"NYC focuses on repeat offenders, social services to combat surge in retail theft" (2023/05/17)

●Nykaa、2022年第4四半期決算を発表・ビューティー&パーソナルケア事業が好調

India.png  5月24日、印美容EC事業者のNykaa(ナイカ)の親会社FSN E-Commerce Ventures(FSN Eコマースベンチャー)が2022年第4四半期決算を発表しました。連結売上高は前年同期比33.7%増の130億1,700万ルピー(約220億8,200万円)で、GMV(流通総取引額)は同36%増の244億5,000万ルピー(約412億8,900万円)を記録しました。ビューティー&パーソナルケア事業の好調が寄与しています。一方で、純利益は前年同期比71.8%減の24億ルピー(約40億7,000万円)を記録しました。広告事業やサプライチェーン、従業員への福利厚生に多額の支出を行っており、今後はコスト最適化を検討する必要があるとビジネスニュースサイトDazeinfo(デイズインフォ)は説明しています。

情報源:FSN E-Commerce Ventures"Financial Statements / Results 2022-23"(2023/05/24)

情報源:Dazeinfo "Nykaa's revenue in FY23 reached a new high of Rs 51.44 billion, profit declined 49% YoY"(2023/05/25)

●SHEIN、マーケットプレイスを立ち上げ、米国市場でのプレゼンス向上に注力

america.png  中国ファストファッションブランドのSHEIN(シーン)は米国市場でのプレゼンス向上に注力しています。同社は5月4日にマーケットプレイス「SHEIN Marketplace」を立ち上げ、Amazon(アマゾン)への対抗を試みています。これまでは自社ブランド商品を中心に取り扱ってきましたが、同プラットフォームではAmazonと同様、国内外から出店事業者を募り、多様な商品を求める消費者のニーズに応えていきます。また、ブランド認知度を高めるためにオフライン展開も強化しています。2022年に同社は世界中で 40件以上のポップアップイベントを実施し、そのうち12 件が米国で開催されました。米国の様々な都市でポップアップストアを展開することで、消費者が商品を手に取る機会を創出しています。同社は、今後も引き続きオフライン販売にも注力する予定です。

情報源:PYMNTS"Shein Diversifies US Strategy, Launches Third-Party Marketplace and Pop-Ups"(2023/05/24)

●Meituan、2023年1~3月期の決算を発表・売上高26.7%増の黒字転換

china.png  5月25日、中国フードデリバリー大手Meituan(メイトゥアン:美団)が2023年1~3月期の決算を発表しました。売上高は前年同期比26.7%増の586億2,000万元(約1兆1,000億円)で市場予想を上回り、純利益は54億9,100万元(約1,000億円)の黒字となりました。フードデリバリーや宿泊・チケット予約、日用品宅配サービス「Meituan Instashopping(メイトゥアンインスタショッピング:美団閃購)」などを含む「中核生活関連サービス事業」の売上高は同25.5%増の429億元(約8,500億円)で、取引件数は14.9%増の42億6,700万件で好調を記録しました。同事業では加盟店へのプロモーション戦略や消費者データの分析を強化し、加盟店のオンライン売上拡大を支援しています。特にフラッシュセールやライブ配信、短編動画を通じてメガヒット商品を生み出しています。また、旧正月やバレンタインデー、母の日などのイベントを活用し、日用品や酒類・飲料、花類の売上を伸ばしました。特に、旧正月期間中には連休中に営業している薬局にインセンティブや配信プラットフォームを提供することで、特定地域の人々へ無料のオンライン診療サービスを提供しました。その結果、医薬品の取引件数とユーザー数は共に好調でした。今後も、加盟店へのオンライン販売支援サービスを強化していく予定です。さらに5月29日には香港版フードデリバリープラットフォーム「KeeTa」を本格始動しました。2023年末までには香港全土でサービスが利用できるようになる予定です。本事業は中国本土以外への初の進出で、国際展開の足がかりとなります。

情報源:Meituan"Announcement of the Results for the Three Months ended March 31, 2023"(2023/05/25)

情報源:Reuters"Meituan returns to profit as Q1 revenue beats estimates"(2023/05/29)

●Pinduoduo、2023年第1四半期決算を発表・売上高58%増の好調

china.png  5月26日、中国EC事業者Pinduoduo(ピンドゥオドゥオ:拼多多)が2023年第1四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比58%増の376億4,000万元(約7,400億720万円)で純利益は同212%増の81億元(約1,600億円)でした。Alibaba(アリババ)やJD.com(JDドットコム:京東集団)などの大手EC企業と比較すると、Pinduoduoの規模はまだ小さいもののEC企業全体的で成長が鈍化する中で、著しく業績を拡大しています。同社は2021年以降、テクノロジー開発への投資を拡大し続けており、2023年第1四半期の開発費は前年同期比4.2%増の25億元(約500億円)でした。CEO のLei Chen(レイ・チェン)氏によると、同社は今後もオンラインマーケットプレイスのテクノロジーへの投資を続け、エコシステムの活性化を目指す予定です。また、傘下の越境ECプラットフォームTemu(テム)は初期段階の事業であるものの、海外市場でユーザー数を急激に伸ばしています。

情報源:PDD Holdings"PDD Holdings Announces First Quarter 2023 Unaudited Financial Results"(2023/05/26)

●Allegro、2023年第1四半期決算を発表・国内事業が好調

poland.png  5月29日、ポーランド最大のECプラットフォームAllegroは、2023年第1四半期決算を発表しました。経済の減速やインフレによる消費減少にもかかわらず、市場予測を上回る好調を記録しました。売上高は前年同期比22.7%増の17億1,000万ズウォティ(約562億8,500万円)、GMV(流通総取引額)は同14%増の123億4,000万ズウォティ(約4,061億7,500万円)となりました。また、アクティブユーザー数は1,420万人に達し4四半期連続で増加しています。売上全体の94%近くを占める国内事業は積極的なセールイベントや低価格商品の販売によるGMVの増加や、新規広告主の増加による広告事業の増収によって好調を記録しました。また、2022年に買収したチェコのオンライン小売事業者Mall Group(モール・グループ)を統合し、低価格商品の販売に注力することでコスト最適化を進めています。同社はインフレによる消費圧迫が影響して第2四半期の国内事業成長は鈍化すると予測しており、自社の商品受け取りロッカーを2,700台以上に拡大し消費者のEC利用を促進する予定です。

情報源:Allegro"Selected historical consolidated financial information"(2023/05/25)

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