【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0706-0712

Today’s Topic
今週の注目は「中国低価格ECのTemu、日本上陸」だよ!
●Kroger、リテールメディアとプライベートブランドの成長により利益率増加

america.png  米大手スーパーKroger(クローガー)は、割引クーポンの配布強化によるプロモーション費の増大にもかかわらず、リテールメディア事業の成長とプライベートブランド「Our Brands(アワーブランド)」の堅調な販売実績により、2023年第1四半期の利益率が増加しました。6月15日に発表された決算発表によると、厳しい経済状況にもかかわらず売上高は前年同期比1.3%増の451億7,000万ドル(約6兆4,100億円)で、市場予測を上回りました。特にリテールメディア事業に注力し、複数の企業と協業しています。大手スーパーマーケットAlbertsons(アルバートソンズ)との合併のほか、2023年4月には米Disney (ディズニー)にコネクティッドTV広告のターゲティングと効果測定ツールを導入、5月には実店舗で冷蔵商品の扉に広告を配信するクーラースクリーンズの運用開始も発表しています。同社のリテールメディア部門は、モバイルアプリやウェブサイトから割引クーポンを収集する消費者のエンゲージメントが前年同期比13%増加していると述べています。エンゲージメント向上には、リテールメディア事業が寄与したと考え、消費者のトラフィックやデータ収集のためにも、同事業を強化すると説明しています。こうした取り組みはデジタルセールスの売上拡大にも貢献しており、前年同期比15%増と二桁成長を見せました。そのほかにも、インフレの影響でナショナルブランドよりも安価なOur Brandsを購入する消費者が増加しました。同社は、今後も定期的な割引サービスの提供や、Our Brandsの幅広い商品展開を継続する予定です。

情報源:Kroger"Q1 Earnings Release, 2023" (2023/06/15)

情報源:DIGIDAY 「クローガー の第1四半期、利益率を押し上げたのはリテールメディアとプライベートブランド」(2023/07/03)

●TikTok、英国に限定ポップアップを開設しTikTok LIVEによる販売を強化/span>

UK.png  7月5日、TikTok(ティックトック)がロンドン市内に初のポップアップを期間限定で開設しました。一般公開はされておらず、招待した出店事業者やクリエイターに対してTikTok LIVEを用いたライブコマースでの販売を促しています。同社の調査によると、ユーザーの50%がTikTok LIVE視聴後に商品を購入しており、非ユーザーと比べて購買率が1.7倍高いことが分かっています。TikTokはコミュニティ・エンターテインメント・ショッピングを結びつけるコミュニティとしての役割を目指し、コマース事業を強化しています。

情報源:TikTok"TikTok opens its first ever pop up shop on Oxford Street to showcase the power of TikTok Shop 'IRL'"(2023/07/05)

●アマゾンジャパン、デリバリーステーション増設により地方地域の配送強化

nihonn.png  7月6日、Amazon Japan(アマゾンジャパン)が荷物配送の最終的な作業を担う仕分け拠点であるデリバリーステーションを2023年中に11カ所新設することを発表しました。合計で全国50カ所以上に拡大し、都市部以外でも翌日配送可能な地域が広がります。同社は新たに地域の中小企業が空き時間にAmazon商品を配達し副次収入を得ることができる「Amazon Hubデリバリー」や、起業家が独自の配達ビジネスを開始することを支援する「デリバリーサービスパートナープログラム」を開始します。配送拠点の新設により、地域の経済発展や消費者の利便性向上を進めるねらいです。

情報源:アマゾンジャパン合同会社「Amazon、日本全国11カ所に配送拠点を新設」(2023/07/06)

●中国低価格ECのTemu、日本上陸

nihonn.png  7月6日、中国EC大手Pinduoduo(ピンドゥオドゥオ:拼多多)傘下の格安越境ECのTemu(テム)が日本市場での販売を開始し、アジア市場へ初進出しました。Temuは2022年9月に米国でサービスを開始して以降、カナダや英国、ドイツなど18カ国で事業を展開し、米Amazon(アマゾン)や中国のファストファッションECのSHEIN(シーン)と競合していました。Bloomberg(ブルームバーグ)傘下のSecond Measure(セカンドメジャー)によると、米国消費者が2023年5月にTemuで消費した金額は、SHEINで消費した金額よりも約2割多く、現在米国のApp Store(アップルストア)でSHEINとAmazonを抑え1位にランクインしています。インフレによる商品価格高騰に苦しむ欧州市場においても人気を博しています。

情報源:Reuters "Startup e-commerce platform Temu expands to Japan"(2023/07/06)

情報源:36KrJapan「中国発の格安越境EC「Temu」が日本上陸 赤字覚悟で強気の拡大路線」(2023/07/10)

●楽天ペイ、キャンペーンによる新規利用者の拡大をねらい、PayPayを追従

nihonn.png  7月12日、楽天グループ傘下で決済事業を担う楽天ペイメントがスマホ決済の楽天ペイと楽天ポイントに関するキャンペーン施策「おトクなペイは楽天ペイ スーパー還元」を発表しました。楽天ペイアプリ内の楽天ポイントカードを提示して会計すると通常の3倍のポイントが進呈されるキャンペーンや、楽天ポイントカードの提示と楽天ペイアプリ利用で最大1,500%還元されるキャンペーンなど、計4つの施策が実施されます。認知度の高い楽天ポイントと楽天ペイを組み合わせることで、ソフトバンク系のスマホ決済PayPay(ペイペイ)に追従するねらいです。4つの施策のうち2つは、新規加入者を対象としたもので、楽天ポイントカードや楽天カード、楽天IDだけでなく楽天ペイの利用率を拡大させる計画です。

情報源:BUSINESS INSIDER「楽天が「Wでおトク」でPayPayを追従、楽天ペイとポイントを合わせた還元を実施」(2023/07/13)

●米Amazonプライムデー、初日売上は前年比6%増、値引きでWalmartなど競合に対抗

america.png  7月12日、米Adobe(アドビ)はAmazon(アマゾン)が11~12日の2日間で行う年間セールPrime Day(プライムデー)の初日動向を発表し、売上高は前年比6%増の、64億ドル(約8,700億円)を記録しました。消費者の高い節約志向により、伸び率は鈍化しました。Adobeによると、プラムで―初日の家電製品・玩具・衣類の売上高は6月の1日平均売上高と比べて、37%・27%・26%増加しました。また、平均値引き率は電子製品が16%と最大で、その他玩具や衣類も10%以上の値引きを行い、Prime Dayと同じ週に大幅な値引きを実施する競合に対抗しています。なお、競合のWalmart(ウォルマート)はロイヤル会員「Walmart+(ウォルマートプラス)」に対して50%の値引きを提供しました。

情報源:Reuters "Amazon Prime Day sales rise as deep discounts tempt inflation-hit shoppers"(2023/07/13)

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