NEW【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0111-0117

Today’s Topic
今週の注目は米国で開催のCESです。大手ブランドから小売と幅広い業種で生成AI活用が発表され、顧客体験向上に繋がる新サービスも多く紹介されました。
●世界最大のテクノロジー見本市「CES」開催

global.jpg   2024年1月9日から1月12日まで、米ラスベガスにて開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES」が開催されました。今年のイベントでは、AIを活用したサービスが多く発表されたことが特徴となりました。また、今年は初めて化粧品ブランドがオープニング基調講演に登壇したことで注目を集めました。登壇したL'Oreal Paris(ロレアル・パリ) は新たに「Beauty Genius(ビューティ・ジニアス)」と呼ばれる生成AIを活用したアドバイザーツールを紹介しました。生成AIに加え、メタバースや画像認識技術を組み合わせることで、チャット形式でユーザーの肌状態に適した化粧品などを提案します。ユーザーは、画像認識技術を用いたAI肌診断やAR機能を利用してバーチャルメイクも利用できるようになります。また、L'Oreal Paris以外ではWalmart(ウォルマート)やAlibaba(アリババ)も、生成AIを活用した新サービスを発表しています。  Walmartは、Microsoft(マイクロソフト)のソリューションを活用し、チャット形式のショッピング検索サービスを発表しました。ユーザーはWalmartのアプリ上で、ブランド名や品物の名前ではなく商品を利用する状況を伝え、検索ができるようになります。例えば、ポテトチップや風船などの商品を個別で検索する代わりに、「フットボール観戦パーティー」と情報を提供することでテーマに沿った商品リストを受け取れます。現在はiOSでのみ提供され、2024年後半にはAndroidにも展開予定です。その他、AIやARを活用したアバター試着の「Shop With Friends(ショップ・ウィズ・フレンズ)」と呼ばれるアプリ内機能などを発表しています。また、Alibabaは、独自開発した大規模言語モデル「Tongyi Qianwen(通義千問)」を搭載したスマート・アシスタント機能を発表しました。同機能ではチャット形式の商品検索が可能で、Alibaba.comで販売される商品URLを提示するほか、商品のFAQ対応も行います。

情報源:Digital Commerce 360 "Walmart announces AI applications and drone delivery at CES"(2024/1/10)

情報源:PC Watch 「お肌の調子は、LLMに聞け!「ロレアル」が生成AIを利用したビューティテックをデモ、電力を31%削減した新ドライヤーも発表」(2024/1/11)

情報源:South China Morning Post "Alibaba, TikTok woo US with AI and live-streaming e-commerce at CES trade show, setting the tone for 2024"(2024/1/15)

●2024年のEC業界予測:コト消費がけん引も、物販市場に陰り

nihonn.png   1月17日、ネットショップ担当者フォーラムでは恒例のEC業界の年間展望が発表されました。特に、今年の警戒ポイントとしては、ポスト・コロナに入ったことで巣ごもり消費の反動の影響の大きさを警戒ポイントとし、「コト消費」や外出機会増加により「モノ消費」の鈍化が進む予測を発表しています。  このような動向は2022年頃から始まっており、経済産業省によるとEC市場成長率はコロナ禍の2020年の成長率21.7%と比較すると、2022年は5.3%となり、その勢いが鈍化していることがわかります。コロナ禍における巣ごもり消費が2-3年間続いたことから、コト消費の活況も同程度続くと見込んでいます。特に、2024年は大型連休の外出や旅行が、モノ消費の低迷に繋がるとみられています。ゴールデンウィークやシルバーウィークといった大型連休に加え、年末年始の曜日の並びがよく9連休になります。この時期には、景気の上向きも予想され、海外旅行の費用を貯めるために、例年と比べてオンラインショッピングの利用を控える消費者も出てくると考えられています。  消費マインドの変化に加え、ECサイトの増加に伴う競争環境の激化や広告費用の高騰による利用者獲得の難しさなど、市場環境の変化もモノ消費に影響を与えるとしています。こうした状況を乗り越える上では「徹底した商品力アップ」を挙げており、商品自体の改良に加え、動画活用や商品ページの充実、OMO活用といった売り方の工夫も重要になっています。

情報源:ネットショップ担当者フォーラム 「【2024年のEC業界予測】景況感は「厳しい」。押さえておきたい"警戒ポイント"と対策まとめ」(2024/01/17)

●英Tesco、ホリデーシーズンにて好調を記録し、年間業績予測を引き上げ

UK.png  英大手小売事業者Tesco(テスコ)が2023年のホリデーシーズンにて好調を記録し、年間業績予測を引き上げたことを発表しました。Tescoは1月11日の2023年度第3四半期決算にて、クリスマスまでの4週間で、英国の既存店売上高が9.2%増加し、ホリデーシーズンでは過去最高の売上高を記録したと発表しました。また、オンライン売上も好調で、同時期で11.5%増加し、クリスマス時期には1時間配送サービスWhoosh(ウーシュ)では、50万件の注文を配達したとしています。CEOのKen Murphy(ケン・マーフィー)氏によると、インフレの影響により消費者がホリデーシーズンのギフトよりも食料品に出費を集中させたこと、約2,700品の商品値下げによって消費者の節約志向に応えたことが好調の原因と説明しています。同社は、2024年2月末に発表する年間業績では調整後営業利益27億5,000万ポンド(約5,200億4,800万円)に達すると見込んでいます。

情報源:Tesco "Q3 and Christmas Trading Statement 2023/24"(2024/1/11)

●クイックコマース市場の成長に減退、各社協業や業務効率向上に取り組む

nihonn.png  クイックコマース事業者は、コロナ禍の巣ごもり特需が減速し撤退が相次いでいます。これを受け、各事業者は生き残りをかけて利便性の高いサービス展開を実施しています。特に、タイムパフォーマンス(時間効率)重視のZ世代を中心とした消費者からの需要の拡大も期待されており、MMD研究所によると、2028年には国内市場規模が8,000億円を超える予測もあります。クイックコマースの衰退が続く中で、スタートアップのOniGO(オニゴー)は流通大手イトーヨーカ堂と協業し、利便性の高いサービス展開を目指しています。Onigoは、ユーザーがアプリで注文した商品を平均30分で配達するサービスを提供しています。また、イトーヨーカ堂の系列会社のセブンイレブンでは、店頭商品を最短30分で届ける「7NOW(セブンナウ)」の提供に注力しています。対象店を全国約9,000店まで拡大しており、2024年度は2万店を見込んでいます。買い上げ点数と客単価はともに店舗の約3倍に上り、遠方に暮らす老親に代わって注文する事例もあります。一方で、LINEヤフー傘下のアスクルは、都内23カ所のダークストアを7カ所に削減することでクイックコマースサービスの業務効率に取り組んできました。一拠点の担当範囲を広げて受注を増やすことを狙います。

情報源:日本経済新聞  「小売りとタッグで「即配」再起 オニゴーはイトーヨーカ堂と」(2024/1/16)

●Victoria's Secret、Googleとの協業でAIを用いた顧客体験向上に取り組む

america.png  大手アパレルブランドVictoria's Secret(ヴィクトリアズ・シークレット)が、Google Cloud(グーグル・クラウド)との協業で、よりパーソナライズ化されたインクルーシブなショッピング体験提供を目指すことを発表しました。その一環として、新たにAIアシスタントの提供を始めます。アシスタントは個々人の好みや生活状況などに基づいて、最適な商品をレコメンドします。今回、Googleの技術を導入した背景として、2022年 12月に買収したD2C下着ブランドの「Adore Me(アドーア・ミー)」が当社の技術を導入していたことが挙げられます。なお、同社の技術はフロントエンドに留まらず、サプライチェーンの最適化や在庫管理などのバックエンドでも導入することを計画し、戦略的にAIを取り入れることで顧客や従業員体験の改善に繋げていきます。/span>

情報源:PYMNTS "Victoria's Secret & Co. to Create New AI-Powered Shopping Experiences with Google Cloud"(2024/01/11)

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