NEW【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0201-0207

Today’s Topic
今週の注目はApple Vision Proの発売です。Lowe'sやJ. Crew、elfなど小売やブランドが専用アプリを配布し、没入感のある新しいショッピング体験の提供に取り組んでいます。
●Apple Vision Pro発売開始、没入型空間の中でのショッピング体験が広がる

america.png  2月2日、米国にて次世代型VR端末「Apple Vision Pro(アップル・ヴィジョン・プロ)」が発売されました。同端末は本体のカメラで撮影した現実の風景にCGを合成したARで、コントローラーを使わずに目や指の動き、声だけで操作できる点が特徴です。既に600以上の専用アプリが登場しており、100万以上の既存アプリがVision Proに対応しています。家具ブランドLowe's(ロウズ)、アパレルブランドJ. Crew (ジェイ・クルー)、コスメブランドelf(エルフ)など小売やブランドもApple Vision Pro対応アプリの提供を開始しています。Lowe'sのアプリ「Lowe's Style Studio」では、購入予定のインテリアを自宅の映像に仮置きすることができ、また、自宅でのレイアウトデザインを考えることも可能です。800億通りのインテリアの組み合わせをアプリ上で見ることができます。J.Crewの「J.Crew Virtual Closet」では、仮想空間に置かれたマネキンにJ. Crew のカタログから選んだ洋服を着せ替えてコーディネートができます。今後、J.Crew のスタイリストがコーディネートアドバイスを行うパーソナルサービスも展開の予定です。また、elfの「your best e.l.f.」ではメディテーション音楽や塗り絵アクティビティなどを楽しみながら、アプリ内でelf商品を購入できます。今後もApple Vision Proを活用した様々なショッピング体験サービスが展開されると考えられています。

情報源:Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン) 「Apple Vision Pro実機レビュー、私たちは「ようやくここまできた」」(2024/2/2)

情報源:Digital Commerce 360 "Online retailers release some of the first Apple Vision Pro apps"(2024/2/2)

●ZOZO、2024年第3四半期決算を発表

nihonn.png  1月31日、ZOZO(ゾゾ)が2024年第3四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比8.1%増の1,475億6,800万円で、営業利益が同2.4%の456億9,800万円を記録しました。「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」にてセール施策を強化したことに加えて、親会社のLINEヤフーが運営するECサイト「Yahoo!ショッピング」に出店する店舗での売れ行きが好調だったことが寄与しました。ZOZOTOWNでは2023年の5月、9月、11月にセールイベント「ZOZOWEEK」を実施したほか、コスメ事業のZOZOCOSME(ゾゾコスメ)に注力しました。2023年12月末時点で国内外の750以上のコスメブランドを取り扱っており、商品取扱高拡大のため、さらに積極的な新規ブランド誘致や商品展開を進めていく計画です。Yahoo! ショッピングでは顧客の定着に加え、モールを運営するLINEヤフーによる「本気のZOZO祭」などの販促施策により、売り上げを伸ばしています。また、2024年3月から複数の注文を1件の配送にまとめて通常より配送を遅らせる「ゆっくり配送」を試験導入することを発表しました。配送件数を抑えることで物流コストの上昇を緩和するねらいです。

情報源:株式会社ZOZO 「2024年3月期 第3四半期 決算短信」(2024/1/31)

●TikTok、Tokopediaとの戦略的パートナーシップを締結

Indonesia.png  1月31日、TikTok(ティックトック)がGoTo(ゴートゥー)のEC事業者Tokopedia(トコペディア)と、インドネシアでの戦略的パートナーシップの締結を発表しました。TikTokはこの事業に長期的に15億ドル(約2,200億2,800万円)以上を長期的に投資すると発表しています。GoToはTikTokとの連携で得た利益を金融サービスのGoTo Financial(ゴートゥーファイナンシャル)や、ライドシェアサービス Gojek(ゴジェック)に注力して、経済圏を拡充する計画です。GoToグループのCEOであるPatrick Walujo(パトリック・ワルホ)氏は、今回の締結がインドネシアの中小事業者に利益をもたらすと考えています。2023年12月にTikTokとTokopediaが実施したキャンペーン「Beli Lokal」では中小事業者の売上高がキャンペーン期間外と比べて125%増加しました。

情報源:GoTo   "GoTo and TikTok Announce Transaction Completion, Formalizing Strategic Partnership for Indonesia"(2024/1/31)

●Walmart、店舗展開を強化 店舗体験向上によりAmazonなど大手ECに対抗

america.png  米大手小売Walmart (ウォルマート)が今後5年間で新たに150店舗を開店し、2024年内に既存の650店舗を改装することを発表しました。同社は現在、米国内に約4,600店舗を運営しており、巨大な店舗網を強みにしています。インフレ下でも低価格商品の販売を実施し、消費者の獲得に成功しました。コロナ禍では消費者のオンラインシフトを受け、自社ECや配送センターへの投資を優先していましたが、消費者の実店舗回帰が進んでいることを受け、店舗網の拡充を再開します。同社CEOのJohn Furner(ジョン・ファーナー)氏によると、新店舗ではトレンドのアパレルブランド商品を展開するほかQRコードによる商品情報の提供など、最先端の店舗体験を提供する予定です。同社は店舗体験の向上に注力することで、Amazon(アマゾン)など大手EC事業者に対抗しています。

情報源:CNBC "Walmart plans to add more than 150 large-format stores across the U.S."(2024/1/31)

●Amazon、2023年第4四半期決算を発表

america.png  2月1日、Amazon(アマゾン)が2023年第4四半期(10〜12月期)決算を発表しました。2023年通期の連結売上高は前年同期比11.8%増の5,747億8,500万ドル(約85兆4,800億円)、営業利益は同約3倍の368億5200万ドル(約5兆4,800億円)を記録し、純損益は2022年度の27億2,200万ドル(約4,000億4,400万円)の損失から304億2,500万ドル(約4兆5,000億円)に黒字回復しました。また第4四半期売上高は、前年同期比14%増の1,699億6,100万ドル(約24兆8,700億円)で営業利益は4.8倍の132億900万ドル(約1兆9,700億円)と好調でした。10月に実施した会員向けセールや米年末商戦が好調でネット通販事業の販売が伸びたほか、2万7,000人の人員削減や配送網の見直しによる物流費用の抑制が利益に寄与しました。同社は生成AI活用にも注力し、消費者向けに生成AIチャットボット「Rufus」のβ版を発表しました。Amazon上の商品データや消費者レビュー、Q&A情報をもとにテキスト形式で商品のレコメンドを行います。今後も生成AIへの投資を強化するほか、顧客からのフィードバックに基づいてRufusを改善していく計画です。

情報源:Amazon "Amazon.com Announces Fourth Quarter Results"(2024/2/1)

●三菱商事とKDDI、ローソンの3社が資本業務提携を発表

nihonn.png  2月6日、三菱商事とKDDI、ローソンの3社は資本業務提携を発表しました。KDDIがローソンに対する公開買付けを実施する予定で、これが完了すればローソンは三菱商事とKDDIが50%ずつ株式を保有することになります。KDDIは2019年にローソンと資本業務提携し、2020年には独自ポイントをローソンなどが出資する「Ponta(ポンタ)ポイント」に統合し、合計1億人規模のユーザー基盤を築いていました。本提携により、ローソン店舗ではリモート接客の実施を目指し、リモート接客専用の窓口を用意します。この窓口を通じてKDDIのauスマートフォンサービスや、金融の相談やヘルスケア支援など、さまざまなサービスを提供する計画です。また、KDDIとローソンが持つユーザーデータを連携したマーケティング活用も計画しています。日本経済新聞によると、携帯各社は料金競争の激化やスマートフォンの普及の一巡などに伴い、通信事業以外のサービスを検討しています。現在各社が注力するのはポイント経済圏によるユーザーの囲い込みです。ソフトバンクはPayPayポイント、楽天グループは楽天ポイントを軸にECや金融事業を展開しています。KDDIも、今後はPontaポイントを軸に通信や金融との連携を強めると日本経済新聞は予測しています。

情報源:ローソン 「三菱商事・KDDI・ローソン、資本業務提携契約を締結」(2024/2/6)

情報源:日本経済新聞 「KDDIがローソンにTOB、5000億円 三菱商事と共同経営」(2024/2/6)

●Alibaba、2023年10〜12月期決算を発表・純利益7割減 今後はECとクラウドに注力

china.png  2月7日、中国大手EC事業者Alibaba(アリババ)が2023年10〜12月期決算を発表しました。売上高は前年同期比5%増の2,603億5,000万元(約5兆4,500億円)で、純利益が同69%減の144億元(約3,000億円)でした。投資先の時価評価変動と、動画ストリーミングサービスYouku(ヨウク:优酷)とスーパーマーケットチェーンSun Art(サンアート:高鑫零售)の減損による営業利益の減少が純利益減の主な原因と同社は説明しています。また、Taobao(淘宝)やTmall(天猫)などの国内EC事業では、競合との価格競争が激化したことで苦戦しており、同2%増の1,291億元(約2兆7,000億円)にとどまりました。なお、発表によると11月に開催した独身の日セールは、低価格戦略を打ち出したことにより二桁成長を見せたと発表しています。一方で、高額購入をするプレミアム顧客層の拡大にも成長しており、会員制度88VIPの会員数も二桁成長を遂げ3,200万人に達した。国内事業の成長が一桁成長で留まる一方で、海外事業は好調で同44%成長285億1,600万元(約5,980億7,100万円)に達しており、特に越境ECのAliexpress Choice(アリエクスプレス・チョイス)が急成長を遂げ、成長率は60%増となりました。この勢いを維持するにあたり積極的な投資を進めており、取扱商品数の拡大に加え、スピード配送の提供、カスタマーサポートの充実が挙げられています。なお、同社CEOのEddie Wu(エディー・ウー)氏は、今後EC事業とクラウド事業に注力し、TaobaoとTmallのCX向上に向けて投資を強化すると説明しています。

情報源:Alibaba "Alibaba Group Announces December Quarter 2023 Results"(2024/2/7)

この記事の関連タグ