NEW【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0418-0424

Today’s Topic
今週の注目は「米Amazon、競合のECサイトに出品し情報収集か」です。Amazonの行為は楽天市場の出店規約などに抵触する可能性があり、損害賠償請求の対象になる可能性もあります。
●米Amazon、競合のECサイトに出品し情報収集か

america.png  Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙が、米Amazon(アマゾン)が自社とつながりのある企業を通じて楽天やWalmart(ウォルマート)などの競合ECサイトに出品し、競合の情報収集を行っていたと報じました。報道によると、Amazonは「Big River Services International(ビッグリバー・サービシーズ・インターナショナル)」という企業を設立し、競合のECサイトに出品することで、配送の速さや商品の値付け、広告の仕組みなどを調べていました。出品したECサイトは米eBay(イーベイ)やカナダのShopify(ショッピファイ)、日本のZOZO(ゾゾ)をはじめとして、米国や日本、インド、英国、ドイツなどに展開していたと報道されています。専門家によると、報道が事実である場合Amazonの行為は損害賠償請求の対象になりうるとされています。

情報源:日本経済新聞 「Amazon、楽天など競合に出品し情報収集 WSJ報道」(2024/4/18)

●Amazonが韓国市場に本格参入に向けて送料無料キャンペーンを打ち出す

Korea.png  大手EC事業者Amazon(アマゾン)が韓国市場に本格参入する動きみられています。2021年8月にはSK Telecomと提携し、11番街でAmazonの商品を販売開始していましたが、2024年4月18日、Amazon.comにて韓国への配送料の無料キャンペーンを打ち出しました。購入金額が49ドル(約7,500円)以上の場合、一部商品を除いて送料が無料になります。一方でAliExpress(アリエクスプレス)やTemu(ティームー)など中国EC事業者も低価格を武器に韓国市場への攻勢を強めています。2024年3月、AliExpressは1兆5,000億ウォン(約1,700億7,400万円)を投じて韓国に物流拠点を構築する計画を発表しました。。専門家によると、こうした動きから韓国のEC市場は今後、米中企業の市場争いが激化すると予測されています。

情報源:MK "Amazon, the world's largest e-commerce company, will provide free delivery to Korean consumers."(2024/4/18)

●英ASOS、SHEINの台頭に対してBack to Fashion戦略を打ち出す

UK.png 英ASOS(エイソス)が2024会計年度の上半期で売上高が18%減少する業績不振に見舞われました。背景として、中国格安EC事業者SHEIN(シーン)の台頭も想定されています。こうした中で同社は、「Back to Fashion」戦略を打ち出しています。この戦略の3本柱は、(1)商品の質向上、(2)消費者との関係強化、(3)サービスコストの削減です。この戦略に沿って、2023年夏に機関投資家や個人投資家から8,000万ポンド(約152億7,600万円)を調達するなど、抜本的な改革に着手しました。また、新デザインを3週間でオンライン販売できる「Test & React」というSHEINのような商品開発モデルを取り入れ、早くも結果が出ているとASOSは説明しています。さらに在庫水準も30%削減するなど、コスト構造の改革も進めました。今後も、費用対効果を重視する戦略の打ち出しにより、再び黒字化を目指します。

情報源:Ecommerce News Europe "Asos loses 18 percent in turnover and echoes Shein"(2024/4/19)

●南アフリカZandoがSHEINやTemuに対抗した越境ECサービスを展開

SouthAfrica.png  南アフリカの大手ファッションEC事業者Zando(ザンド)が中国EC事業者SHEIN(シーン)とTemu(ティームー)の台頭に対抗するために、越境ECサービス「Zando Global(ザンド・グローバル)」を新設しました。Zandoによると南アフリカではSHEINとTemuの低価格な商品が人気を博す一方、商品の質や配送の信頼性、返品プロセスの複雑さなどの懸念から、越境ECの利用を躊躇する消費者が増えています。これに対してZandoは、品質と配送の信頼性、返品プロセスの確実性を保証したZando Globalを新設し、消費者の越境EC利用促進を見込んでいます。同サービスでは20万点以上の商品を取り扱い、ファッション、家具、ガジェットなど幅広い品揃えを提供します。また自社の物流ネットワークを活用し、配送や返品をスムーズに行えるのが強みです。さらにSHEINやTemuと同じ物流パートナーを使うことで、低価格の配送料も実現しています。一方で、Amazon(アマゾン)も2024年に南アフリカ進出を予定しており、更なる競争が予想されています。

情報源:South China Morning Post "Zando launches international unit to counter Shein and Temu in South Africa"(2024/4/19)

●TikTok、英国で中古品ラグジュアリー販売サービスを開始

UK.png  4月22日、TikTok(ティックトック)が英国のTikTok Shopで中古品ラグジュアリー販売サービスを開始しました。TikTokでは、中古ラグジュアリー商品への関心が高く、2024年4月時点でハッシュタグ「#secondhandfashion」を使ったTikTok投稿は14万4,000件を超え、約12億ビューを獲得しています。今回の取り組みは米国に続く展開で、英国ではSellier(セリエ)やLuxe Collective(リュクス・コレクティブ)、Sign of the Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)、Hardly Ever Worn It(ハードリー・エバー・ウォーン・イット)、Break Archive(ブレイク・アーカイブ)などの中古品販売事業者の5社と提携しています。中古品市場では偽造品の流通が最大の課題で、Amazon(アマゾン)やeBay(イーベイ)など大手EC事業者も対応に追われています。TikTok Shopでは他の事業者と同様に、第三者機関による真贋判定を義務付け、偽物の場合は全額返金するポリシーを設けています。また、Bloombergの報道によると、TikTokが偽造品の取締りを強化するためにラグジュアリーブランドのLVMHとの協業を交渉しています。Amazonも欧州での中古品ラグジュアリー販売に注力しており、2024年2月には中古品販売事業者のHardly Ever Worn Itと提携し欧州のAmazonサイトで中古品ラグジュアリーの取り扱いを開始しました。Bain & Companyによると、中古品ラグジュアリー市場は2023年には世界中で493億ドル(約7兆2,939億7,900万円)相当の商品が販売されると推定されています。

情報源:Amazon.uk "Introducing Hardly Ever Worn It to Luxury Stores at Amazon in Europe"(2024/2/6)

情報源:Tech Crunch "TikTok Shop expands its secondhand luxury fashion offering to the UK"(2024/4/22)

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