EC業界ニュース】Weekly Topics! 0518-0524

Today’s Topic
今週の注目は「Walmart、Alibabaの2023年第1四半期決算発表」だよ!
●Walmart、2023年第1四半期決算を発表・低価格戦略と買い物の利便性向上により好調

america.png  5月18日、米小売大手Walmart(ウォルマート)が2023年第1四半期決算を発表しました。売上高が前年同期比7.6%増の1,523億100万ドル(約21兆円)となり、市場予想を上回りました。急激なインフレで消費者の節約志向が強まるなか、徹底した低価格戦略が寄与しています。国内事業は、ピックアップ&デリバリーサービスが牽引し、EC事業の売上高が前年同期比27%増の成長を記録しました。広告事業「Walmart Connect(ウォルマートコネクト)」は同40%成長しています。国際事業は、中国・メキシコ・インド事業が好調です。各地域の店舗を集荷、注文の処理、配送の拠点として活用することで現地でのEC売上を前年同期比25%拡大しています。同社CEOのDouglas McMillon(ダグラス・マクミロン)氏は「価格競争力に加え、買い物の利便性を高めたことが成長につながった」と説明しています。

情報源:Walmart Inc. "Walmart Reports First Quarter Results" (2023/05/18)

●Alibaba、2023年第1四半期決算を発表・国際事業が好調

china.png  5月18日、中国大手EC事業者のAlibaba(アリババ)が2023年第1四半期決算を発表しました。売上高は前年同期比2%増の2,082億元(約4兆916億円)、営業利益は同9%減の152億人民元(約2,986億円)でした。国内商取引事業の売上高は同3%減の1,320億6,200万元(約2兆5,950億円)で、コロナ禍のロックダウン政策やコロナ規制の落ち着きに伴う消費行動の正常化が影響しています。そのため、Taobao(タオバオ:淘宝)およびTmall(天猫)のGMVは前年同期比1桁半ばの減少を記録しています。国際事業の売上高は同29%増の185億4,100万元(約3,600億674万円)と好調です。AliExpress(アリエクスプレス)で送料無料・返品無料・配送品質保証などを提供するChoice(チョイス)サービスの展開に伴い、注文数が2倍成長を遂げました。Lazada(ラザダ)は消費者エンゲージメント向上に継続して取り組み、東南アジア市場で注文数が2倍に成長し、ユーザー数を拡大させています。同社は今後、タオバオアプリでの配信コンテンツの強化によるマーケティング戦略を強化する予定です。また、アリババは事業再編の一環として、物流事業のCainiao(ツァイニャオ:菜鳥)と食料品店チェーンFreshippo(フーマー:盒馬)のIPO検討を発表しています。

情報源:Alibaba Group"Alibaba Group Announces March Quarter and Full Fiscal Year 2023 Results "(2023/05/18)

●ニトリ、国内EC売上28.3%増 ライブコマースに注力

nihonn.png  5月9日、ニトリホールディングスが2023年3月期決算を発表しました。国内EC売上高は前年同期比28.3%増の911億円と好調を見せています。新たな購買体験の取り組みとしてライブコマースを掲げ、2023年3月期中には合計86回のライブコマースを実施しました。毎月ライブコマースで季節に応じた商品を販売し、累計視聴者数は260万人以上を記録し、ライブ配信中にはクーポン配布などを行い、購買促進に繋げています。ECサイトでは消費者の悩みを解決するサービスの提供も開始し、「カーテンオンライン相談サービス」や「お部屋deコーディネート」などを提供しました。同社は今後の重点施策として、①ライブコマースの人員拡充と配信数の増加 ②テレビ・SNS広告の出稿強化 ③ネット限定品の拡大 ④テレビショッピングの配信強化などを掲げています。

情報源:日本ネット経済新聞「ニトリHD、通販売上28.3%増の911億円 ライブコマースを86回開催、累計260万人超が視聴」(2023/05/18)

●Sainsbury's、ファッションブランド向け独自オンラインマーケットプレイスの立ち上げを計画

UK.png  英小売大手のSainsbury's(セインズベリー)は、ハイストリートファッションブランド向けの独自オンラインマーケットプレイスを立ち上げる予定です。The Sunday Times(サンデー・タイムズ)紙によると、同社はJigsaw(ジグソー)やWhite Stuff(ホワイトスタッフ)、Yours Clothing(ユアーズクロージング)などのブランドにアプローチしています。手数料を40%以上請求する英百貨店のJohn Lewis(ジョン・ルイス)と比べて、Sainsbury'sは低い手数料を提示していると報じられています。今回のマーケットプレイス立ち上げは、2023年1月のファッション小売事業者Sosandar(ソサンダー)との連携に続くものです。

情報源:Internet Retailing"Sainsbury's to launch online fashion marketplace"(2023/05/22)

●オーストラリア、BNPL決済の規制に乗り出し

Australia.png  オーストラリア政府がBNPL(後払い決済)の法規制に本格的に乗り出します。今後はBNPL事業者に対して利用者の信用情報の照会を義務付けることが発表されました。Afterpay(アフターペイ)やZip Co(ジップカンパニー)などのBNPL業者は、今後、ASIC(Australian Securities and Investments Commission:オーストラリア証券投資委員会)の監督下に入ります。これまで、BNPLは利用者に金利コストが発生しないことから法規制対象外でしたが、コロナ禍の現金支給や超低金利政策の影響でEC利用の増加に伴い、BNPLの利用も増加しています。オーストラリアの約30年ぶりの高水準にある高インフレ下で、借りすぎによる返済トラブルの懸念が強まったことを背景に、政府は規制強化に乗り出しました。

情報源:Reuters"Australia hits buy-now-pay-later sector with consumer credit law"(2023/05/22)

●TikTok、欧州市場のEC事業を再度強化

EU.png  Financial Times(ファイナンシャルタイムズ)紙によると、TikTok(ティックトック)が欧州市場のEC事業を強化するため、戦略を再考しています。TikTokは、競合他社が欧州市場へのライブコマース進出に苦戦している背景を受け、既にライブコマースサービス「TikTok Shop(ティックトックショップ)」を展開している米国・英国・東南アジア市場への事業強化を進めます。これまで同社はTikTok Shopの導入国を拡大する計画を進めていましたが、今後は既に同サービスを導入している市場の事業強化を進める予定です。そのため、ブラジルやスペインでのTikTok Shop導入に携わっていた従業員は欧州や東南アジア市場へ異動される予定です。

情報源:楽天グループ株式会社"TikTok reshapes ecommerce unit in bid to crack western markets"(2023/05/23)

●SHEIN、印Reliance Retailとの協業でインド再参入を計画

India.png  The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙によると、中国のファストファッションブランド「SHEIN」(シーン)が、インドの小売大手「Reliance Retail」(リライアンス・リテール)と協業し、インド市場への再参入を目指しています。インドでは中国との地政学的な緊張の高まりを受け、2020年にTikTok(ティックトック)やSHEINを含む、約50もの中国アプリの利用禁止を発表しました。今回の協業に基づき、SHEINはインドの中小企業から生地の調達を行い、中東への輸出のためにインドに生産拠点を建設する予定です。同紙によると、インド政府はシンガポールに本社を置くSHEINを中国企業と認定していないため、この協業を承認しています。

情報源:Tech Crunch"The Shein-Reliance India alliance could offer inspiration for Chinese startups"(2023/05/23)

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