【オウリー通信】世界の配送サービス事例! ピックアップ編

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海外では注文した商品を自分で取りに行くClick & Collectが流行っているみたい!ドライブついでに買い物を積んでもらえるのはラクチンだね。

Click & Collectをご存知ですか?オンラインショッピングで注文した商品を家に届けてもらうのではなく、店舗などに自ら取りにいくサービスです。日本ではClick & Collectよりも「コンビニ受け取り」の方が一般的かもしれません。JDAによると、日本でのClick & Collect利用率は2割程度ですが、欧州では約6割も利用しています。日本では時間指定配送や再配達制度などの宅配サービスが提供されていますが、これら欧州諸国では日本ほど充実していないため、宅配以外のサービスの多様化が進んでいます。ここでは、世界の代表的なピックアップサービスについてご紹介します!

JDA & Centiro Customer Pulse 2017 European Comparison "Voice of the online European Customer"

JDA & Centiro Customer Pulse 2017 日本の消費者調査 インターネットショッピングに関する消費者意識調査

◎英老舗百貨店John Lewis、Click & Collectをいち早く導入!

 英老舗百貨店のJohn Lewisは、2008年から段階的にClick & Collectに取り組みはじめ、今ではすべての店舗や系列店で受け取れるになっており、2017年に入りClick & Collect利用率は5割を超えました。その結果、店舗とオンラインショッピングを併用する利用者が増加し、昨年の年末商戦には売上の約4割がオンライン経由を記録したほどECサイトの利用が増え、売上拡大に繋がりました。

 尚、Click & Collectの利用増加に伴ない、店舗オペレーションへの負担が増え、従来購入金額に関わらず無料であったところ一部有料化(£30以上の購入は無料)に踏み切りました。

 John Lewisは、店舗展開していないエリアでClick & Collectのサービスを提供するために、Collect+のサービスを活用しています。Collect+は、イギリス国内のニュースエージェント(タバコ屋)をネットワーク化し、商品のピックアップ・返品対応サービスを提供しています。

 欧州以外でも、Click & Collectは積極的に取り組まれています。アメリカでは、小売大手WalMartは2016-2017年の間に $20億をClick & Collectに費やすことでオンライン売上を急拡大させています。具体的な取り組みとして、店頭ピックアップを選択した顧客向けにWalmart Pickup Discountという割引サービスの提供や自動ピックアップ装置Pickup Towerを全国の店舗内に設置し始めています。Pickup Towerは、注文番号をデジタルサイネージに入力すると45秒以内に商品が運ばれる仕組みです。

<引用:Walmart公式ホームページよりWalmart built a mysterious tower that's like nothing we've ever seen before

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 新興国でも、Click & Collectに取り組む事業者が増えています。2014年にAmazonは、インドで昔ながらのパパママショップのKirana Storeでのピックアップサービスを開始しました。これにより年間10%の物流コスト削減に繋げることに成功しています。今ではPrime Nowサービスの受け取りにも対応しています。Amazonに追随し、大手EC FlipkartやネットスーパーのBigbasketもKirana Store受け取りに対応し始めました。

<引用:Tech in AsiaAmazon goes hyperlocal in India, taps mom-and-pop stores for speedy groceries
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 Click & Collectは、店舗受け取りが多いですが、エキナカロッカーや店舗以外の受け取りへの対応も取り組まれています。代表例としてAmazonのAmazon Lockerが挙げられますが、EC事業者以外にも仏配送関連事業者のNeoPostが提供するPUDO、独国鉄Deutshce Bahnが提供するDB Bahnhofs Boxなどと様々な事業者がロッカーサービスを提供しています。

◎仏Click & Drive、自動車社会に適したサービスも登場!

 フランスでは、2000年より大手スーパーAuchanがClick & Driveというサービスを提供し始めいます。Click & Driveとは、ドライブスルー感覚で専用のスポットに駐車すると商品を運んでくる仕組みで利便性の高いサービスとして根付いいています。今では、4,000箇所以上にClick & Drive拠点があります。

<引用:Auchandrive.fr公式ホームページよりNOS DRIVES

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 一方、アメリカではCurbsideと呼ばれるClick & Drive専用サービスプロバイダーが登場しています。Curbsideのアプリを使うことで、最寄の対応店舗を確認しアプリ内でショッピングも行うことができます。店舗で商品が用意でき次第アプリに通知され、店舗付近でドライブイン形式で商品を受け取れます。現在、Curbsideに対応している事業者としては、小売大手Target、百貨店Nordstrom、化粧品専門小売Sephora、ショッピングセンターWestfield、薬局チェーンのCVS Pharmacyなどが挙げられます。


<引用:Curbside公式サイトよりCurbside

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◎米Happy Returns、返品対応に特化したサービスを提供

 最近では返品対応を専門に行うサービスも登場しています。米Happy Returnsでは、ショッピングセンター内でサービスを展開しています。購入者は、Happy Returnsに対応したECサイトで購入した商品を持ち込むことで、その場で返金してもらうことができます。

<引用:Happy Returns公式ホームページよりHappy Returns

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 このように、海外では宅配以外の様々なピックアップサービスが発展してきています。しかし、Amazon Primeの登場により、近年、消費者は当日や翌日配送などの宅配をも求めるようになっています。次回は、様々な宅配サービスについてご紹介します。

注目サービス

事業社名 サービス概要
Collect+

2009年に創業。イギリス全土のニュースエージェント(タバコ屋)をネットワーク化し、ピックアップ・返品対応サービスを提供。現在、6,500店舗が対応している。John Lewisに加え、House Of Fraser、ASOS、L'Occiataneを顧客に抱える。

Curbside

2013年に創業。アメリカの自動車ピックアップ専用サービスを提供。主に、小売事業者やレストランと向けにサービス提供しており、Target、Nordstrom、Sephora、Westfield、CVS Pharmacyなどを顧客に抱える。

Happy Returns

2016年に創業。アメリカの返品対応専用サービス。大手ショッピングセンターのなかで展開し、返品サービスを提供。現在全国41箇所でサービス展開しており、2018年中に50箇所にまで拡大する計画。主に、EC専業事業者向けにサービスを提供しており、Everlaneや Chubbiesなど、近年注目を集めているEC専業事業者を顧客に抱える。

(Ms Everyday Holiday)

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