【EC業界ニュース】Weekly Topics! 0512-0518

Today’s Topic
今週の注目は、「ペイパルがハッピーリターンズを買収」だよ!
●ファーフェッチ、決算発表。ブランドの取扱商品数が記録的に増加

UK.png5月13日、英高級ファッションネット通販「ファーフェッチ(Farfetch)」が2021年第1四半期の決算を発表しました。売上高は前年同期比46%増の4億8,500万ドル(約530億円)、総利益は同44%増の2億2,100万ドル(約240億円)、また、GMVは前年同期比50%増の9億1,600万ドル(約1,000億円)となりました。特に、オンラインストアのGMVは前年同期比60%増の7億9,000万ドル(約870億円)となり、そのうち85%はサードパーティー経由の取引を占めます。なお、同社マーケットプレイスでは、約1,400のセラーおよび3,500以上のブランドによる出品数が増加、特に直接提携している売上上位10ブランドについては取扱商品数が前年対比2倍にまで拡大しました。第1四半期の業績に対して、ファーフェッチCEOのジョゼ・ネヴェス(José Neves) は「2021年は当社にとってすばらしいスタートであり、第1四半期の事業成長率は予想を上回り、通年の予測成長率も当初の予想を上回った」と語りました。同社は、2020年の11月5日にアリババが運営するラグジュアリーECサイト「ラグジュアリー パビリオン(Luxury Pavilion)」にチャネルを開設しました。ジョゼ・ネヴェスは、この戦略的パートナーシップが同社の「ラグジュアリー・ニュー・リテール」新ビジョンの形成にとっての重要性を説明し、ラグジュアリー業界への継続的な投資により2021年の更なる業績成長への期待も示しました。

情報源:同社決算発表資料 " Farfetch Announces First Quarter 2021 Results "(2021/05/13)

●アリババ、決算発表。上場以降初めての四半期赤字

china.png5月13日、中国ネット通販大手「アリババ(Alibaba)」が2021年第1四半期の決算を発表しました。売上高は前年同期比64%増の1,873億元(約3兆1,857億円)、純損失は76億元(約1,301億円)となりました。減益の要因としては、中国国家市場監督管理総局(市監総局)が課した独占禁止法による罰金の影響が挙げられます(中国当局は2021年4月、同社が独占禁止法に違反したことで182億元(約3,078億円)の罰金を科しました)。その結果、2014年9月の上場以降初めての四半期赤字になりました。なお、アリババグループCEO ダニエル・チャン(張勇)は第1四半期の業績に対して、「デジタル時代の社会において、『どこでも簡単にビジネスができるように(To make it easy to do business anywhere)』のビジョンを実現させるために、我々はユーザー体験とイノベーションによる顧客価値の創造に、引き続き注力していきます」とコメントしています。

情報源:同社決算発表資料 「2021年度第1四半期報告書」(2021/05/13)

●楽天、決算発表。国内EC流通総額は1.1兆円超

nihonn.png5月13日、ネット通販大手の「楽天」が2021年第1四半期の決算を発表しました。売上高は前年同期比18.1%増の3,915億1,300万円、Non-GAAP営業利益は同44.4%増の419億1,400万円となりました。主力サービスである国内EC事業においては、流通総額は前年同期比22.4%増の1兆1,220億円になり、引き続き順調に拡大しています。また、ウィズ・コロナ時代で「巣ごもり消費」の拡大に伴い、日用品と医療品を特化したネット通販サイト「Rakuten 24」や総合型ネット通販サイト「楽天市場」でのショッピングをするニーズが高まり、利用者数が定着し、売上高の伸びも堅調に進んでいます。

情報源:同社決算発表資料 「2021年度第1四半期決算説明会」 (2021/05/13)

●ペイパル、返品ソリューションのハッピーリターンズ買収

america.png5月13日、米返品サービス「ハッピーリターンズ(Happy Returns)」が、米決済サービス大手の「ペイパル(PayPal)」に買収されたことが報じられました。以前から、ペイパルはハッピーリターンズに出資しており、今回の買収を通じて購買後のサービス強化に注力すると発表しています。ハッピーリターンズは2015年に創業され、EC利用者に対して、不要な商品を直接箱に入れて提携店舗へ簡単に返品できる「ドロップオフ返品」サービスを提供しています。現在、米国で約1,200都市の大学や商業施設を中心にサービスを提供しており、すでに2,600ヶ所以上でドロップオフサービスを展開しています。

情報源:同社リリースニュース " Happy Returns joins forces with PayPal "(2021/05/13)

●ウォルマート、バーチャル試着プラットフォーム「ジーキット」を買収

america.png5月13日、米小売最大手「ウォルマート(Walmart)」が、イスラエルのバーチャル試着プラットフォーム「ジーキット(Zeekit)」を買収したことを発表しました。ジーキットの特徴としては、3Dマップを2Dイメージにレンダリングする技術を活用した商品の試着体験を提供できることが挙げられ、トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)やアディダス(Adidas)などの大手アパレルブランドを顧客に抱えています。今回の買収を経て、今後ウォルマートのネット通販サイトでも同社の技術を導入することが計画されています。なお、ウォルマートの直近の四半期は決算によると、米国ではワクチン接種が進んでいることや、景気刺激策として追加での一時給付金が配布されたことから、これまで買い控えの対象となっていたアパレルや化粧品販売の回復がみられているそうです。

情報源:同社プレスリリース " Walmart Announces Plans To Acquire Zeekit, a Leading Virtual Fitting Room Platform, To Enable Enhanced and Social Shopping Experience for Customer "(2021/05/13)

●カクヤス、日本酒販売に特化したECを開設

nihonn.png酒類小売チェーンストアを運営する株式会社カクヤスが、新型コロナウイルスにより影響を受けた日本の酒蔵を支援するために、日本酒とつまみの販売に特化した専門ECオンラインストア「カクベツ」を2021年7月から開設します。カクベツでは、酒蔵や食品事業者が出品することにより、ユーザーに直接商品を提供するとしています。同社は、出店者に対して、売上金額の5%を手数料として徴収しますが、出店商品のカテゴリーに応じて異なるとしています。カクベツは、現段階では国内ユーザーのみを対象としているが、今後は海外展開を売上拡大も計画しています。

情報源:ネットショップ担当者フォーラム 「カクヤスがモール事業に参入。「日本酒+つまみ」に特化した専門EC「カクベツ」を開設」(2021/05/14)

●ゴジェックとトコペディアが統合

Indonesia.png 5月17日、インドネシア配車大手のゴジェック(Gojek)が同国ネット通販大手のトコペディア(Tokopedia)と統合することが発表されました。新社名は「GoTo(ゴートゥー)」とし、本来の業務であるネット通販と配車サービス以外に金融サービスも展開します。東南アジアでは、現在、プラットフォーマーの覇権争いが活発化しており、今回統合を発表したゴジェックに加え、「ショッピー(Shopee)」の親会社である「シー・グループ(Sea Group)」、そして配車サービス「グラブ(Grab)」の3社が注目を集めています。現状では、シー・グループが事業規模においてゴジェックとグラブを圧倒的にリードしている状況ですが、ゴジェックがトコペディアと統合することでネット通販市場に参入し、グラブから一歩リードすることとなります。なお、統合した新会社ゴートゥーでは、今後、米国とインドネシア両方での上場を目指しているとされています。

情報源:日本経済新聞 「東南アIT、3強体制に ゴジェックとトコペディア統合へ 新社名「GoTo」 シーとグラブ追う」(2021/05/17)

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